中国共産党の世界的野望に対する米国の反応

7月16日にウイリアム・バー米国司法長官は、フォード大統領博物館で中国政策について講演を行った。6月24日にロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)は「中国共産党のイデオロギーと世界的な野望」について語り、7月7日にクリストファー・レイFBI長官は「中国共産党によるスパイ活動と盗用行為がアメリカにとっての最大の長期的脅威だ」と主張した。7月13日にマイク・ポンペオ国務長官は「南シナ海における中国の海洋権益に対する主張は無効」との声明を発表し、7月15日に「中国に領土を侵害されていると考えるすべての国を支援する」と領土問題不干渉という従来の米国の立場を大きく変更する方針を表明した。 

トランプ大統領の主要な閣僚の中国非難に続き、テキサス州ヒューストンの中国領事館の閉鎖や、南シナ海での2回目のロナルド・レーガン空母打撃群による軍事演習実施など、米国側の攻勢が強まっている。このような情勢の中、バー司法長官がどのような趣旨の中国批判を行ったのか見てみよう。

バー司法長官は、CIAに入局後、レーガン政権のもとで法務政策担当を務め、1991年から1993年の間、ブッシュ(父)政権で司法長官を務めた。司法長官につくのは今回が2回目である。あまり政治色の強いポストではないが、オブライエン大統領補佐官やレイFBI長官の主張を引用しつつ、「中国製造2025構想におけるロボット工学、高度情報技術、航空、電気自動車などハイテク産業を中国が独占する計画」に注意すべきであると述べ、中国が「国家主導の戦略的投資と買収、知的財産の窃盗と強制移転、ダンピング、サイバー攻撃、スパイ活動など様々な強奪的手段で、違法な戦術を展開してきた。連邦政府が経済スパイとして起訴したうち約80%では中国の利益になるような行為が疑われており、企業秘密の窃盗事件の約60%は中国と関係があるとされている」と中国による違法行為の多さに警鐘を鳴らす。

バー司法長官は、「アメリカ人は、中国が貿易や投資で豊かになり、中国の政治体制が自由化されることを期待していたが、政権の根本的性格は変わっていない。香港に対する冷酷な取締りが示しているように、1989年の天安門事件の時よりも民主化から遠ざかっている。中国共産党は、自国民を監視し、社会的信用スコアを割当て、反体制派を拷問し、教化や労働収容所に収容された100万人のウイグル人を迫害している」と政権の性格に変化が見られず、独裁色が強まったことに失望している。

また、バー司法長官は、米国の企業が短期的な利益のために、中国の影響力に屈してきた例が多数あることを嘆いている。例えば、「ハリウッドでは、世界で最も強力な人権侵害者である中国共産党に取り入ってもらえるように、映画を検閲させている。この検閲は中国で公開される映画のバージョンだけでなく、アメリカの劇場でアメリカ人の観客に向けて上映される多くの映画にも影響を与えている。また、娯楽大手のディズニーも映画上映やテーマパーク運営について中国政府からの要求に屈している。さらに、グーグル、マイクロソフト、ヤフー、アップルなどの企業は、中国共産党との協力を惜しまない姿勢を見せてきた。中国共産党は、報復のための脅迫や市場へのアクセスを禁止することで影響力を行使してきた。しかし、最近では、政治的な目的のためにアメリカの企業幹部を育成し、強要しようとする裏の動きも活発化してきている」と中国が仕掛けてくる様々な非合法なやり方を指摘している。

8月21日、中国商務省の高峰報道官は、延期されていた閣僚級の貿易協議を近日中に再開すると発表した。2月に発動した米中貿易協議の実施状況を確認するのではないかと観測されている。詳細は判明していないが、8月初旬に中国指導部の長老や政治局員などが避暑地「北戴河」に参集し、議論が行われたようである。その結果、今後の対米交渉に影響がでてくるのか、トランプ政権の閣僚の動きが中国非難の方向でさらに活発化するのか、米中交渉から目が離せない。


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