実業之日本フォーラム 実業之日本フォーラム

地経学サロン

 

 新型コロナウイルスのパンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻、ハマスの奇襲とイスラエルの報復、そして中国・習近平政権のもと蓋然性が高まる台湾有事――。冷戦終結後に広がったグローバリズムの楽観が終焉し、世界を再びレアル・ポリティークの現実が覆いつつあります。あらゆる企業活動は、この地殻変動と無縁ではいられません。しかし、日々、膨大なニュースがあふれる中で、必要な情報を取捨選択してその意味を探ることは容易なことではありません。

 実業之日本フォーラムでは、激動の時代を生き抜くための「地経学」の思考を、有識者との対話や編集委員による調査・分析などを通して学び合える場として「地経学サロン」の公開を開始します。経済・政治・軍事など多角的な視点で、特に重要な情報をピックアップし、その真意を探ります。世界の今と「その先」を、参加するみなさまと共に見通してまいります。ぜひご参加ください。

方式:zoomウェビナー
お申込み:Peatix
開催日:毎週水曜16時~



■今後の予定

7月31日(水)16:00~17:00
台頭する中国EVの「真実」
IEA(国際エネルギー機関)の見通しによると、2024年の世界のEV(電気自動車)販売台数は新車市場全体の5分の1を超える。
とりわけ躍進が目立つのが中国製EVだ。例えば中国大手EVメーカー・BYDは、昨年10~12月期のEV世界販売台数で、米テスラを上回って首位。23年通年の新車販売台数ではBMWを抜いて世界9位となった。
台頭しつつある中国EVに欧米は警戒を強める。中国EVが中国政府から不当な補助金を受けて安値攻勢をしかけていると批判、関税率を引き上げて対抗する構えだ。
日本車の金城湯池であったはずの東南アジアでも中国EVがシェアを急拡大。品質・コスト面でも中国EVは日本車に追いついてきた。
他方で、足元ではEVの需要は停滞。アーリーアダプター(初期採用者層)の購入が一巡したことや、各国の補助金や税優遇策の縮小・終了が響き、日本メーカーが強みを持つハイブリッド車に再び注目が集まっている。
世界的な脱炭素の流れの中、中国EVは世界の覇権を握るのか。そしてわが国の基幹産業である日本車は生き残ることができるのか。
トヨタグループの技術系シンクタンク出身で、気鋭のエネルギーアナリスト、大場紀章氏にインタビューする。

ゲストスピーカー:大場 紀章
エネルギーアナリスト/ポスト石油戦略研究所代表
1979年生まれ。京都大学大学院博士後期課程(化学専攻)を単位取得退学後、トヨタグループの技術系シンクタンクであるテクノバに入社。2015年に独立し、21年ポスト石油戦略研究所を創設。エネルギー安全保障、次世代自動車、データサイエンスなどの分野で幅広く調査分析を行っている。JDSCエグゼクティブフェロー。

■過去のサロン

7月24日(水)16:00~17:00
米中綱引きの舞台  中東の大国サウジアラビア
世界第2位の産油国であり、2大聖地(メッカ・メディナ)を有するイスラム教スンニ派の大国、サウジアラビア。米国の中東安定化構想を巡っても、サウジとイスラエルの関係正常化がカギとなる。
もっとも、米国はこれまで中東への関与を弱めてきた。
かつて石油を輸入に依存してきた米国は、サウジが産出する豊富な原油が魅力だった。
しかし2000年代後半、米国で「シェール(頁岩)」と呼ばれる岩石層で石油や天然ガスを掘削する技術が開発され、17年ごろには米国がサウジを抜いて世界最大の産油国となった。米国にとって、サウジを含めた中東の重要性は減少し、軍事的プレゼンスも縮小しつつあった。
その隙を突くようにサウジに接近したのが中国だ。サウジが輸出する原油の主要な買い手となり、関係が親密化。2022年末、習近平国家主席はサウジを訪問し、「包括的戦略パートナーシップ」を結んだ。
こうした米中の綱引きが繰り広げられる中でガザ紛争が起き、米国は再び中東の関与を強めざるを得なくなった。サウジは、米中を両天秤にかけながら実利を狙える立場にあるように見える。
他方、世界的な脱炭素の潮流の中で、サウジには「石油依存型経済から脱却する」という重い課題が立ちはだかる。
中東という地域の中でも、米中対立の狭間という意味でも揺れ動くサウジアラビア。在サウジアラビア防衛駐在官の経験を持つ海自OBの解説を交えながら読み解いていく。

7月17日(水)16:00~17:00
安達・前防衛装備庁技術顧問に聞く「日本の防衛装備戦略」
防衛装備庁が国の防衛力強化に必要な技術分野などをまとめた「防衛技術指針2023」。2022年12月に策定した「国家安全保障戦略」など安保3文書で示した方針を具体化したものだ。
日本を守り抜く上で重要な無人機やサイバー防御など12の技術分野を提示し、その一部を5年以内か10年以内に装備することを明記。また、10年以上先を見据えて防衛に変革をもたらす「防衛イノベーション」を実現し、将来にわたる技術的優位の確保を狙う。
ウクライナや中東など世界各地で紛争が相次ぐ中、日本の安全保障や防衛力の重要性がより高まっている。前防衛装備庁技術顧問の安達孝昭氏を招き、防衛技術指針の解説を通じて防衛装備戦略の未来を展望してもらう。

ゲストスピーカー:安達 孝昭
前防衛装備庁 技術顧問
1978年東北大学大学院修了後、海上自衛隊に入隊。海上幕僚監部(海幕)武器課長、補給本部副本部長、海幕技術部長、技術研究本部開発官、防衛装備庁技術顧問などを経てNEC顧問、東陽テクニカ顧問。

7月10日(水)16:00~17:00
海洋国家・英国の新たな船出
英議会下院の総選挙が7月4日に投開票され、野党・労働党の圧勝となり、14年ぶりの政権交代が実現する。EU離脱後の経済振興や移民対策に期待を寄せた国民が与党・保守党に失望した結果と言える。
EU加盟によって財政負担に応じた便益を得られず、押し寄せる大量の移民・難民が雇用を奪い治安を悪化させたことで、国民の不満や不安が増幅。国民投票を経て2020年1月に離脱した。しかし、その後の国内政治は茨の道が続く。
一方、外交方針として「グローバルブリテン」構想を掲げ、特にインド太平洋地域への傾斜が注目される。これまでもTPPやAUKUSなどを通じて同地域への関与を強めてきたが、政権交代後も方針は変わらないはずだ。海洋国家として新たに船出する英国のしたたかな外交に焦点をあて、その深謀遠慮に迫る。

7月3日(水)16:00~17:00
続・伸長する軍事テックと米国の覇権
前回のサロンでは、「軍産複合体」というエコシステムの中で勃興する米国の軍事テック企業について、戦場での活用例を交えて概観した。
では、それら軍事テックは、市場においてどのような評価を得ているのか。航空機や船舶を製造するハードウエア中心の伝統的な軍事メジャーと比較しつつ、経済面から検証する。
緊迫化する国際情勢を受け、軍需産業の伸長は著しい。半面、兵器を取り扱う企業には負のイメージがつきまとう。
果たして、米国の軍事テックはこれからも成長していくのか。

6月26日(水)16:00~17:00
伸長する軍事テックと米国の覇権
世界の軍事費が増大する中、軍事産業の成長が目立ってきている。
戦車、飛行機、船、ミサイルといった従来型兵器だけでなく、AIやドローンといった先端技術が戦場で使われ始めており、米国では、企業評価額10億ドルを超える未上場の「ユニコーン軍事テック企業」も現れている。
AIの急速な進化がGPU(画像処理半導体)を手掛ける米エヌビディアの時価総額を世界首位に押し上げたように、国際情勢の不安定化を背景に、米軍事テックが市場の新たな主役に躍り出るかもしれない。
米国はいまだに世界トップの軍事力を維持しているものの、相対的な国力は低下し、「世界の警察官」ではなくなった。
はたして、軍事テックの伸長は米国の技術的優位を拡大させ、覇権を支える柱となるのか――。
自衛隊OBによる先端軍事技術の事例解説を交えながら考察する。

6月19日(水)16:00~17:00
「次の中国」へ相似形なすベトナム  
中国と同様に共産党一党独裁の社会主義国家ベトナム。だが、中越関係は近年、南シナ海の領有権問題を巡って悪化の一途。当初支持を表明していた中国の「一帯一路」構想についても安全保障の観点から警戒感を募らせる。
一方で、かつて戦火を交えた米国とは関係正常化を徐々に進め、2023年9月の首脳会談で外交関係を中ロと並ぶ最上位の「包括的戦略パートナーシップ」に格上げして急速に距離を縮める。
東南アジア諸国の中でもGDP伸び率がトップクラスにあり、中国の成長トレンドにも相似するベトナムは、真の「ネクストチャイナ」となり得るのか。米中間でバランスをとる外交戦略を解説し、その経済的ポテンシャルを紐解く。

6月12日(水)16:00~17:00
岩崎茂元統合幕僚長に聞く「日本の防衛能力」
今年3月、日英伊で共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出を解禁する方針が閣議決定された。
殺傷能力がある武器を輸出することに議論もあるが、輸出先を増やすことで生産コストが低下し、日本の防衛産業の維持・発展にも資する。
5月には、陸海空自衛隊の一元的な指揮を行う「統合作戦司令部」を設置することを盛り込んだ改正自衛隊法が成立した。
日本の安全保障環境は一層厳しさを増している。私たちは、中国・ロシア・北朝鮮という「非西側の核保有国」に囲まれているリスクを直視せねばならない。
政府の掲げる「防衛力の抜本的強化」を実現するため、自衛隊のあり方や日本の防衛産業の育成をどう考えるべきか。
航空自衛隊出身で「空のスペシャリスト」でもある岩崎茂元統合幕僚長に、編集長がインタビューする。

ゲストスピーカー:岩崎 茂
ANAホールディングス顧問、元統合幕僚長
1953年、岩手県生まれ。防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊。2010年に第31代航空幕僚長就任。2012年に第4代統合幕僚長に就任。2014年に退官後、ANAホールディングスの顧問(現職)に。※岩崎の「さき」は「崎」の異体字(「山」辺に「立」に「可」)

6月5日(水)16:00~17:00
経済学者・井上智洋氏が語る「AI×ロボットが労働を代替する日」
AIが人間の仕事を奪う日が近づきつつある。
文章だけでなく、音声、画像、動画情報まで高速で処理する次世代AI「GPT-4o」の誕生によって、事務労働をAIが代替するシナリオが現実味を帯びる。
他方、肉体労働を代替するロボットの誕生は、制御技術やコスト面から「まだ先」とみられていた。だが、AIや強化学習、そして軍事需要の高まりが人型ロボット(ヒューマノイド)の進化を後押ししている。
事務労働に加え肉体労働も機械に奪われれば、人間に残るのは頭脳労働しかない。創造性や管理能力が要求される頭脳労働の分野に皆が移行できるのか。そしてその時、経済に何が起きるのか--。
AIやメタバース、テクノロジーと雇用の関係性について斬新な知見を公表し、近著『AI失業』でも話題の気鋭の経済学者・井上智洋氏をゲストに招き、「AI×ロボット失業」の未来について考える。

ゲストスピーカー:井上 智洋
駒澤大学経済学部 准教授
慶應義塾大学環境情報学部卒業。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。2015年4月から現職。博士(経済学)。専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論。主な著書に『人工知能と経済の未来』『ヘリコプターマネー』『人工超知能』『AI時代の新・ベーシックインカム論』『AI失業 生成AIは私たちの仕事をどう奪うのか?』などがある。

5月29日(水)16:00~17:00
「曖昧さ」巧みに使うインドの実相
曖昧さと多様性が特徴の新興大国インド。人口で中国を抜いて世界一位となり、高水準の経済成長も実現した。ナレンドラ・モディ首相の国民評価は高く、6月4日に開票される総選挙で党首となるインド人民党の圧勝が濃厚で、モディ政権の続投が確実視されている。
実利主義のモディ政権は全方位外交を展開。日・米・中・ロの主要各国への中間的な立ち位置を巧みに利用し、自国の安全保障・経済メリットを享受する。また、「グローバルサウス」と呼ばれる途上国のリーダーとして国際舞台での存在感を一段と高めている。
先進国の仲間入りを目指すインドはGDPで日独を上回る3位を視野に入れる。ただ、工業化の遅れや貧富の格差、ヒンズー主義推進に伴う宗教対立など課題は少なくない。安全保障政策や経済政策の分析を通じて、捉えどころのないインドの実相を浮き彫りにする。

5月22日(水)16:00~17:00
地政学と半導体、台湾「シリコン・シールド」の虚実
「米国での生産は無益」――。半導体で世界を席巻する台湾積体電路製造(TSMC)の創業者モリス・チャン氏の思いがけない一言に世間がざわついた。
米国は巨額の補助金で自国の先端半導体産業を育成する傍ら、安全保障の観点から対中半導体規制を強化。TSMCはこうした米国の思惑と顧客第一経営の狭間で米の企業誘致に応じたが、高コストと勤勉労働者の不足で将来性が見込めないと判断したチャン氏の思いが冒頭の言葉に込められている。
実際、TSMCの米アリゾナ工場の稼働開始が大幅にずれ込んでいる。一方、日本の熊本工場の建設は順調に推移。後工程に強みがある日本は半導体産業の再集積を通じて復権を狙う。
TSMCは米アップルの無理難題に応えて経営体力をつけた側面があり、日米やドイツへの海外進出にも自信をみせる。同社の歴史や強さを紐解きつつ、半導体ビジネスの世界情勢や米中への軍事上のインパクトを解説し、「シリコン・シールド(半導体の盾)」の虚実を探る。

5月15日(水)16:00~17:00
日・NATO連携と「中国の影」
冷戦激化に伴い結成された米国と欧州諸国の集団安全保障枠組み「NATO」は今年4月、75周年を迎えた。冷戦終結後も存在意義を保つため、域外地域における紛争予防・危機管理も掲げながら加盟国を増やし、「最も成功した同盟」とも呼ばれる。
ウクライナ戦争の背景には、プーチン大統領のNATO東方拡大への脅威認識があったが、ロシアの武力行使が皮肉にも北欧2国のNATO加盟を促し、対ロ防衛力を高めることとなった。
こうした中、「力による一方的な現状変更」という共通の脅威に対処するため、日本とNATOが連携を強化し始めた。
2022年6月には岸田文雄首相が総理大臣として初めてNATO首脳会合に出席、ロシアによるウクライナ侵攻を非難しつつ、中国を念頭に「東シナ海・南シナ海で力を背景とした一方的な現状変更の試みが継続されている」とし、「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と述べた。
また、NATOも同月に採択された「戦略概念」で中国への警戒を示し、中国が「体制上の挑戦」を突きつけていると明記した。ストルテンベルグNATO事務総長は、中国が「新興破壊的技術」(EDT)と呼ぶ分野に積極投資し、軍事力を高めようとしていることに懸念を示している。
このように、対中国で手を結ぶ日・NATOだが、欧州には「目の前の危機」がある。
苦戦するウクライナが敗北すれば、NATOへの脅威が増すことは避けられない。また、米大統領選でNATOへの国防費拠出に消極的なトランプ氏が再選すれば、欧州加盟国の負担増につながる可能性は高い。加盟国間の結束も一枚岩とは言えない。
拡大しつつも域内外の脅威の高まりに苦悩するNATOと、日本の役割について考える。

5月8日(水)16:00~17:00
領土防衛へ大胆不敵なフィリピン
南シナ海の領有権をめぐり中国との緊張が高まるフィリピン。海域で威圧的行為を繰り返す中国に対し、老朽軍艦を座礁させて軍事拠点とするほか、自国船の被害状況を積極的に情報開示するなど怯む様子はない。
こうした中、4月11日に初開催した日米比首脳会談で、海洋の安全保障協力を強化することで一致。また、4月22日から実施した米比両軍の大規模共同演習「バリカタン」では、豪仏が加わったほか日本を始め14カ国もオブザーバーで参加し同志国の結束を示すなど、他国との連携で対中抑止力の向上に努める。
中国にとって南シナ海の制圧は、海洋上に設定した対米防衛ライン「第1列島線」へと勢力を広げる足掛かりとなり、その先に見据えるのが台湾統一だ。米中対立の狭間で親中路線から米国重視に再び舵を切るフィリピンの外交・通商政策はどのように変わるのか。同国の地政学的重要性を踏まえ解説する。

4月24日(水)16:00~17:00
米中の狭間で安保と実利の二兎を追う豪州
4月8日、米国・英国・オーストラリアの国防相は、3カ国の安全保障枠組み「AUKUS」の共同声明を公表した。
同声明では、AUKUSを(1)豪州への原子力潜水艦配備、(2)AIや極超音速ミサイルの共同開発など先端技術の協力――という「2つの柱」で構成することがうたわれた。豪州と「準同盟関係」を築きつつある日本も、後者の先端分野での協力が期待されている。
中国の急速な軍事力増強を背景に、豪州の対中脅威認識は強まっている。軍事同盟色の強いAUKUSを中心に、日米豪印の戦略枠組み「QUAD」と、アングロサクソン系5カ国の機密情報共有枠組み「Five Eyes」で中国を牽制する。
他方で、豪州と中国は経済分野で相互依存関係にある。「鉄」という産業で、切っても切れない関係にあるからだ。
アングロサクソンの固い絆で安全保障を担保しつつも、中国との経済関係は手放さない――。
米中対立の狭間でしたたかに実利を狙うオセアニアの大国・豪州の戦略を読む。

5月1日(水)
休会

4月17日(水)16:00~17:00
米中でしなうタイの“竹”外交
植民地化されず独立を維持してきたタイは、外交上手と評判で、「風にしなう外交」や「バンブー・ディプロマシー」と称される。中でも注目されるのが、米中大国間の競争に巻き込まれず、バランスを保ちながら双方と良好な関係を築いている点だ。
ただ、米タイは、安全保障や経済分野での連携強化を進める一方、米国が脅威とみなす中国をタイは重要なパートナーと位置づけ、必ずしも両国の足並みが揃っている訳ではない。特に、武器販売や合同軍事演習などで深化する中国との安保関係が米国を苛立たせる。
経済面でも観光業を中心に対中依存を強め貿易黒字の恩恵を受けるタイ。この特異な産業構造を紐解き、米中の対立激化でより舵取りが難しくなるバランス外交の未来を探る。

4月10日(水)16:00~17:00
迫り来る「中露枢軸国」のリスク
国際情勢の緊迫化を背景に、ロシアと中国の関係が接近している。
ウクライナ戦争が長期化するなか、西側諸国から経済制裁を受け続けるロシアにとって、中国は貿易相手として最大のパートナーとなっている。
中国は、ロシアから割安なエネルギーを調達すると同時に、対露貿易を通じて人民元決済を増やし、自らの経済圏を拡大させている。
だが、両国は強い絆で結ばれているとは言えない。
中国政府は2023年8月、公式地図を公表し、04年にロシア領として両国が合意した領土の一部を中国領と表記した。
漏洩したロシア機密文書では、中国の奇襲がシナリオとして描かれている。
それでも、反西側体制として中露が手を組む利益は小さくない。覇権の障害となる西側の圧力に、単独ではなしえないレジリエンスを獲得できるからだ。
果たして中露は、西側に対抗する新たな枢軸国となるのか。表面的なパートナーシップに過ぎないのか。国際社会が直面する新たなリスクを読む。

4月3日(水)16:00~17:00
米中対立の狭間で韓国に迫り来る地経学リスク
前回のサロンでは、朝鮮半島の緊張の高まりを背景に、韓国有事のリスクを中心に議論した。しかし、韓国が帯びる地経学的なリスクは、北朝鮮との関係だけにとどまらない。韓国が米国と中国という2大国の狭間にあり、日本と歴史的にも安全保障面でも強く結び付く隣国でもあるからだ。
冷え込んでいた日韓関係は尹錫悦政権誕生で修復に向かう一方、韓国軍による日本の自衛隊機への「レーダー照射問題」や戦時中に日本本土で働いていた韓国人の元徴用工が損害賠償を求めた「徴用工問題」は依然くすぶったままだ。
一方、経済分野で蜜月だった中韓関係は、韓国が米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を配備したことで悪化。中国はTHAADのレーダーが自国領土を監視できるとして反発を強めている。
他方、韓国の「親中化」を警戒する米国は、2023年8月の日米韓首脳共同声明で、北朝鮮のみならず、中国とロシアを安全保障上の脅威・懸念とする旨を示した。韓国は4月10日に総選挙、米国では秋に大統領選を控え、政治的リスクものしかかる。今後、米中対立の狭間で韓国がどのような立場をとるのか注目される。
韓国経済のファンダメンタルズを分析し、日・米・中との関係性を紐解くことで、韓国の地経学的リスクを俯瞰する。

3月27日(水)16:00~17:00
「統一放棄」は超強硬路線の号砲か、緊張する朝鮮半島
ウクライナ戦争と中東情勢に国際社会の関心が集まるなか、朝鮮半島の緊張が徐々に高まっている。北朝鮮の金正恩総書記は、韓国との平和統一を放棄し、敵対国と見なして軍事力を行使することも辞さない方針を示している。
北朝鮮は核兵器の小型化を進めるとともに、その運搬手段である弾道ミサイルの開発を加速させ、かつてない頻度でミサイル発射を繰り返している。韓国との小規模衝突のリスクが高まっており、エスカレーションの可能性も否定できない。
朝鮮半島情勢が悪化した場合、日米韓はどのように連携して対応するのか。国際社会や日本の経済にどのような影響を及ぼし得るのか。静かに緊張を増す朝鮮半島のリスクを分析する。

3月13日(水)16:00~17:00
河野克俊元統合幕僚長に聞く「有事に備える日本の安全保障のあり方」
ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス紛争、北朝鮮の相次ぐミサイル発射など、日本を取り巻く安全保障は一段と厳しさを増している。日本は2022年末に国家安全保障戦略などいわゆる「防衛3文書」を閣議決定し、防衛費をGDP比2%に倍増する方針を打ち出した。
防衛3文書に盛り込まれた「反撃能力」や「能動的サイバー防御」といった概念は、日本の防衛力の抜本的強化に欠かせないものだ。ただ、前者については、その手段となる長射程ミサイルの配備計画を前倒しした一方、後者については法整備が進まず、2024年の通常国会での法案提出が見送られた。有事における国民保護のあり方や、防衛産業の維持・育成に係る「防衛装備移転3原則」緩和の議論も滞っている。
「わが国の有事」が現実味を増すなか、今の日本の安全保障の枠組みをどう評価すべきなのか。また、国際社会における日本の安全保障協力のあり方はどうあるべきか。異例の3度の定年延長で、第五代統合幕僚長として4年6カ月の任期を務めた河野克俊氏に、海自OBがインタビューする。

ゲストスピーカー:河野克俊のプロフィール

川崎重工業株式会社 顧問
1977年に防衛大学校機械工学科卒業後、海上自衛隊入隊。第三護衛隊群司令、佐世保地方総監部幕僚長などを経て、海将に昇任し護衛艦隊司令官、統合幕僚副長、自衛艦隊司令官、海上幕僚長を歴任。2014年、第五代統合幕僚長に就任。3度の定年延長を重ね、在任は異例の4年半にわたった。2019年4月退官。川崎重工業株式会社顧問。筑波大学国際学修士。著書に『統合幕僚長 我がリーダーの心得』(ワック出版局)がある。

3月20日(水)
休会

3月6日(水)16:00~17:00
強くなれ、日本の防衛産業
周辺国の脅威が高まるなか、日本の国家安全保障体制は新たなフェーズに入った。防衛費を2027年度にGDP比2%に増額することが決まり、日英伊は次期戦闘機の共同開発を進めている。
日本の防衛産業にとってはチャンスに見えるが、低い収益性や、「軍事アレルギー」に起因する株主など利害関係者の理解の得にくさから、事業撤退が相次ぐ。足元の円安や物価高によって防衛装備品の調達価格が上昇する懸念に加え、次期戦闘機など防衛装備の第三国輸出緩和については与党で協議がまとまらず、海外市場開拓の道も険しい。
こうしたなか防衛省は、契約制度の改善や防衛装備庁の新設といった施策により、防衛産業の「魅力化」を図る。AIやドローンといった「無人アセット」が戦場のゲームチェンジャーとなりつつあり、これまで防衛産業の主役だった重工業のみならず、スタートアップにも市場参入の機会が訪れている。
世界に目を転じると、国際情勢の不安定化を背景にグローバルでの軍事費は右肩上がりだ。韓国は防衛分野を新たな産業として育成し、防衛強化と経済成長の二兎を追う。
安保環境の悪化を奇貨として、平和と産業育成をいかに両立させるか。日本の防衛産業の潜在力と課題を整理する。

2月28日(水)16:00~17:00
3年目のウクライナ戦争 出口はあるのか
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、3年目に突入した。
軍事力で圧倒するロシアは当初、短期決戦をもくろんだが、ウクライナは西側諸国の援助を得て抵抗を続けている。
他方で、昨年のウクライナ軍の反転攻勢は失敗に終わり、同国の軍総司令官は解任された。西側からの経済制裁に苦しんでいるはずのロシア経済は、中国や北朝鮮などとの取引を通じて予想外の強靭さを見せている。
米国など西側のウクライナ支援が滞るなか、プーチン大統領はウクライナの領土割譲を条件に停戦をちらつかせて揺さぶりをかける。トランプ前大統領は、自らが大統領に復帰すればウクライナ戦争を早期に終わらせると発言しており、米大統領選の結果いかんでは、「力による現状変更」が追認されかねない。
当事国同士にとどまらず、ロシアの専制から自由と民主主義を守る西側諸国の戦いは、今後どのような道を辿るのか。

2月21日(水)16:00~17:00
「中国化」する香港
1997年に香港が英国から中国に返還されて今年で27年となる。84年の英中共同声明では、社会主義と資本主義を併存させ香港に高度な自治を認める「一国二制度」を、返還後も50年間は維持することを保証していた。
しかし、2020年の「香港国家安全維持法(国安法)」の施行によって、反政府的な動きは取り締まりの対象となり、民主派の政治家や活動家が逮捕されるなど、一国二制度の形骸化が進んでいる。さらに今年、香港政府は国安法を補完する「国家安全条例」の制定に向けた作業に着手。社会統制は一層強まる見通しだ。
透明性の高い司法制度や言論の自由を失いつつある香港の現状を見て、西側諸国は警戒を強める。香港ドルや香港の国際金融センターとしての信認も揺らぎかねない。また、習近平政権は台湾統一の野心を抱くが、仮に平和統一が果たされたとしても、「台湾の一国二制度」も骨抜きになるだろうことが容易に想像できる。
西側との窓口である香港の「中国化」は、国際社会や日本にどのような影響をもたらすのか。地経学観点から分析する。

2月14日(水)16:00~17:00
本日大統領選、「大国」インドネシアはどこに向かうのか
2億7000万人を超える人口を抱えるインドネシア。ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟10カ国中、唯一G20メンバーでもある「域内の盟主」だ。かつての開発独裁体制から民主主義的な政治システムに移行し、GDP世界第6位の経済発展を遂げた。
そのインドネシアで2月14日、大統領選が行われる。有力候補のプラボウォ国防相は、ジョコ大統領の息子を副大統領候補に担ぎ上げ、選挙戦をリードする。
「庶民派」として高い支持を得るジョコ氏はプラボウォ支援の動きを強め、縁故主義や選挙の公平性への批判も出始めた。元陸軍幹部のプラボウォ氏は「ジョコ路線」の継承を掲げるが、独裁的な政権を続けたスハルト元大統領の娘の元夫で、過去に軍による人権侵害に関わった。プラボウォ氏が大統領になれば、インドネシアの民主主義が後退するとの声もある。
インドネシアは東南アジアにおける米中対立の最前線でもある。
中国の経済圏構想「一帯一路」に参加してインフラ開発を進める一方で、米国とは外交関係を強化し、中国抑止を図る米国と協調する。
民主主義か開発独裁か、親米か親中か――。大国・インドネシアを読み解く。

2月7日(水)16:00~17:00
中東専門家が語る ハマスの「実像」
昨年10月にイスラエルを急襲したイスラム組織ハマス。あたかも、パレスチナ自治区ガザを実効支配する過激派が、前触れなく大規模攻撃をしかけたように見える。だが、その背景をひもとくと、中東戦争以降のパレスチナとアラブ諸国との関係の変化や、彼らがテロに走った動機が浮かんでくる。気鋭の若手中東専門家が、「西側視点」からは見えないハマスの実像に迫る。

ゲストスピーカー:鈴木 啓之のプロフィール

東京大学大学院総合文化研究科 特任准教授
2010年3月に東京外国語大学外国語学部卒業、2015年5月に東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学の後、日本学術振興会特別研究員PD(日本女子大学)、同海外特別研究員を経て、2019年9月から現職。博士(学術)。

1月31日(水)16:00~17:00
「COP28」報告 脱炭素の最新事情
第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)が昨年11月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれた。地球温暖化防止は国際問題だが、ウクライナ戦争に伴うエネルギーインフレや米国などの「反ESG」の動き、気候変動による被害を受けた途上国への補償など課題は山積する。COP28に参加した国際環境経済研究所の手塚宏之主席研究員(JFEスチール専門主監)が、主要論点とともに脱炭素を巡る最新の動向を報告する。

ゲストスピーカー:手塚 宏之のプロフィール

国際環境経済研究所主席研究員 JFEスチール専門主監(地球環境)
東京大学工学部物理工学科卒、MITスローン経営大学院MBA。1981年日本鋼管(現JFEスチール)入社。2007年から気候変動・環境エネルギー問題を担当。現在、経団連環境安全委員会・国際環境戦略WG座長、日本鉄鋼連盟エネルギー技術委員長、OECDビジネス諮問委員会(BIAC)環境エネルギー委員会副委員長、TCFDコンソーシアム情報開示WG座長、国際環境経済研究所主席研究員などを務めている。

1月24日(水)16:00~17:00
ウクライナ復興を考える
まもなく丸3年を迎えるウクライナ戦争。戦況が膠着するなか、停戦を求める声も出始めている。ウクライナの復興費用は約60兆円に及ぶと言われており、ビジネス拡大の意図も含め、各国・企業は支援の体制づくりを進めている。欧州復興開発銀行(EBRD)東京事務所長の大矢伸氏をゲストに迎え、現時点の復興の枠組みや、日本がどう関わっていくべきかを考える。

ゲストスピーカー:大矢伸のプロフィール

欧州復興開発銀行(EBRD)東京事務所長
1991年東北大学法学部卒業。1996年ボストン大学修士(法律)。ニューヨーク州弁護士資格取得。2002年ジョージ・ワシントン大学修士(金融)。国際協力銀行で、アジア部ASEAN課長、資源金融部石油天然ガス課長、ニューデリー首席駐在員、業務企画室審議役、調査担当特命駐在員(在ワシントンDC)などを歴任。出向により世界銀行審議役、日本カーボンファイナンス・ディールマネージャーも経験。2022年3月から現職。著書に『地経学の時代 米中対立と国家・企業・価値』がある。

2024年1月10日(水)16:00~17:00(前編)
2024年1月17日(水)16:00~17:00(後編)
米中対立から読み解く 台湾有事シナリオ・プランニング(前編・後編)
「一つの中国」原則の下、習近平政権は、台湾統一のためには武力行使も辞さない構えだ。
もはや台湾有事は「起きるか起きないか」ではなく、「いつ起きるか」の問題だ、との声もある。
もっとも、中国にとって、台湾統一は中華人民共和国建国以来の「悲願」であり、中台間の紛争はこれまで何度も生じている。
ではなぜ今、台湾有事が注目されるのか。
その背景には、経済・軍事両面で世界の覇権を握る米国と、それに挑戦する中国、という二つの大国の対立構造がある。そのせめぎ合いの中で、米中の間に位置する地経学的な要衝・台湾。有事のリスクはいやが上にも高まっている。
2週にわたり、将来起こり得る複数の台湾有事シナリオを提示しながら、日本に与える経済的インパクトをシミュレーションする。

12月27日(水)16:00~17:00
続・『AI失業』著者に聞く 労働環境は一変するのか
AIやメタバース、テクノロジーと雇用の関係性について斬新な知見を公表し、近著『AI失業』でも話題の気鋭の経済学者・井上智洋氏。同氏にAIの概要と最新動向を解説いただいた前回に引き続き、今回は「AI失業は起きるのか」「AIでデフレが起こるのか」など、AIが経済に与える具体的なインパクトについてインタビューする。

ゲストスピーカー: 井上智洋のプロフィール

駒澤大学経済学部 准教授
慶應義塾大学環境情報学部卒業。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。2015年4月から現職。博士(経済学)。専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論。主な著書に『人工知能と経済の未来』『ヘリコプターマネー』『人工超知能』『AI時代の新・ベーシックインカム論』『AI失業 生成AIは私たちの仕事をどう奪うのか?』などがある。

12月20日(水)16:00~17:00
年明け 1 月に決戦、台湾総統選
2024 年 1 月 13 日に台湾総統選挙が投開票される。もはや習近平政権は「両岸統一」への野心を隠そうともせず、台湾有事への時計の針は加速する一方だ。当事者である台湾の市民はどのような民意を示すのか。台湾への影響力を強めたい米中両国の暗闘、中国の世論工作と認知戦、与野党の駆け引きなど、総統選の最前線をお伝えする。

12月13日(水)16:00~17:00
「ネオ・チャイナリスク」の行方
前回のサロンでは、中国が抱える不良債権処理がハードランディング、ソフトランディングいずれに向かうのかを経済面から議論した。
今回は、「特色ある社会主義」を掲げて成長を目指し、デジタル監視によって統制を強める習近平政権の特異性に着目しながら、強権主義に起因する「ネオ・チャイナリスク」が国際社会に与える影響について、中国の政治と経済を長年ウォッチしてきた柯隆氏に語っていただく。

ゲストスピーカー:柯隆(かりゅう)のプロフィール

東京財団政策研究所 主席研究員
63年中華人民共和国・江蘇省南京市生まれ。88年来日、愛知大学法経学部入学。92年同大卒業。94年名古屋大学大学院修士課程修了(経済学修士号取得)後、長銀総合研究所国際調査部研究員、富士通総研経済研究所主席研究員などを経て18年から現職。著書に『「ネオ・チャイナリスク」研究』(慶應義塾大学出版会、21年)ほか多数。

12月6日(水)16:00~17:00
不良債権問題で中国経済は本当に沈むのか
不動産業界の経営危機に伴って中国では不良債権が増大しており、中国は「低成長・ゼロインフレ・ゼロ金利」の「日本化」に陥る懸念がある。一方、「中国の特色ある社会主義」を掲げる習近平政権は、民主主義国家ではとり得ない「計画経済と市場経済の組み合わせ」によって不良債権処理に取り組むことも可能だとの見方もある。中国経済は不動産バブル崩壊と不良債権処理でつまずくのか。うまく切り抜け、強国化の道を歩むのか。

主要項目

・中国不動産不況の実態
・過去の中国金融危機との比較
・日本並みのバブル崩壊が起きたら?
・不良債権処理を巡る「3つのシナリオ」
・米中首脳会談の安保上の注目点 …など

11月29日(水)16:00~17:00
『AI失業』著者に聞く 人工知能は人々を豊かにするのか
AIやメタバース、テクノロジーと雇用の関係性について斬新な知見を公表し、近著『AI失業』でも話題の気鋭の経済学者・井上智洋氏。同氏にAIの最新動向、AIと社会・経済の関係について、編集長が「AI失業は起きるのか」「AIでデフレが起こるのか」など、10の質問をぶつける。

ゲストスピーカー: 井上智洋のプロフィール

駒澤大学経済学部 准教授
慶應義塾大学環境情報学部卒業。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。2015年4月から現職。博士(経済学)。専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論。主な著書に『人工知能と経済の未来』『ヘリコプターマネー』『人工超知能』『AI時代の新・ベーシックインカム論』『AI失業 生成AIは私たちの仕事をどう奪うのか?』などがある。

11月22日(水)16:00~17:00
GDP日本超えというけれど…「強国」ドイツの虚実
「日独GDP逆転」の背景は/「欧州の優等生」が「病人」に逆戻り?
今年、日本のGDP(名目ドル建て)はドイツに抜かれて世界4位に転落する――。
IMF(国際通貨基金)が10月に発表した予測が話題となった。
一方、同じIMFの見通しで、ドイツは今年G7(主要7カ国)の中で唯一のマイナス成長に陥ると見込まれている。
果たしてドイツは強いのか、弱いのか。地経学的パワーの実相に迫る。

主要項目

・ドイツの名目GDPが伸びたワケ
・「永遠の割安通貨」と「南欧の犠牲」で成長?
・地経学リスクで中露依存が裏目に
・初の国家安全保障戦略策定、中露への脅威認識は

11月15日(水)16:00~17:30
ウクライナとロシアの今 現地取材レポートと自衛隊OBの分析
現地で見たウクライナの今、ロシア国民のプーチン支持に揺らぎはあるか
ゲスト:岡野直=ジャーナリスト・『戦時下のウクライナを歩く』著者
テーマ:「肌で感じたウクライナ、ジャーナリストが見た戦地の現実」

主要項目とゲストスピーカーの経歴

【主要項目】
・破壊される学校や病院 ー やまぬ市民インフラへのミサイル攻撃
・「市民的」戦争 ー ウクライナの市民ボランティアが戦争を支える構図に
・プーチン大統領の戦争犯罪 ー ウクライナの子供2万人を拉致、洗脳。国際刑事裁判所が大統領に逮捕状
・停戦が平和をもたらさない理由とは

ゲストスピーカー:岡野 直
1960年、北海道生まれ。東京外語大学ロシア語学科卒業。85年朝日新聞社入社。プーシキンロシア語大学(モスクワ)に留学後、朝日新聞西部本社社会部を経て、東京社会部で基地問題や自衛隊・米軍を取材。シンガポール特派員の経験もあり、ルワンダ虐殺、東チモール紛争、アフガニスタン戦争など、紛争地取材の経験も多い。2021年からフリー。全国通訳士(ロシア語)。主な関心はウクライナ、ロシア、観光、文学。著書に「戦時下のウクライナを歩く」2023年7月(光文社新書)、「自衛隊―知られざる変容」(共著)2005年5月(朝日新聞社)がある。

11月22日(水)16:00~17:00
GDP日本超えというけれど…「強国」ドイツの虚実
「日独GDP逆転」の背景は/「欧州の優等生」が「病人」に逆戻り?

今年、日本のGDP(名目ドル建て)はドイツに抜かれて世界4位に転落する――。
IMF(国際通貨基金)が10月に発表した予測が話題となった。
一方、同じIMFの見通しで、ドイツは今年G7(主要7カ国)の中で唯一のマイナス成長に陥ると見込まれている。
果たしてドイツは強いのか、弱いのか。地経学的パワーの実相に迫る。

【主要項目】
・ドイツの名目GDPが伸びたワケ
・「永遠の割安通貨」と「南欧の犠牲」で成長?
・地経学リスクで中露依存が裏目に
・初の国家安全保障戦略策定、中露への脅威認識は

11月8日(水)16:00~18:00
イスラエル・ハマス戦争の行方
「なぜハマスは攻撃したのか」「イスラエルはどう戦うのか」「世界はどう動くのか」の3つの問いに答えながら、安全保障と金融経済のプロフェッショナルが徹底解説。中東戦争の歴史/戦況分析、イスラエル軍の能力/三正面戦略を強いられる米国/オイルショックは再来するのか/台湾有事リスクへの影響は?…など