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2020.12.23 安全保障

公表された成長戦略会議「実行計画」

中村 孝也

菅政権のもとで始動した成長戦略会議」では、菅政権のもとで立ち上げられた成長戦略会議を紹介したが、12月1日に「実行計画」が公表された。5回の会議開催を経て、作成されたものである。「成長戦略会議の設置について」では、「諮問会議の大きな方向性と重点課題に沿って、改革を具体化」する「成長戦略中間とりまとめ」が年末の成長戦略会議の機能と示されている。

本文のパートは、(1)2050年カーボンニュートラルに向けたグリーン成長戦略、(2)ウィズコロナ・ポストコロナの世界における我が国企業の事業の再構築、(3)「人」への投資の強化、(4)「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備、(5)足腰の強い中小企業の構築、(6)イノベーションへの投資の強化、(7)サプライチェーンの再構築、(8)競争政策の在り方、(9)イノベーションへの投資の強化、(10)防災・減災・国土強靭化、(11)「新たな日常」に向けた地方創生、(12)「新たな日常」を支える包摂的な社会の実現、(13)新たな世界秩序の下で活力ある日本経済の実現、から構成されている。

そのうち多くの節が設けられているのは、(4)「新たな日常」に向けた地方創生、(6)イノベーションへの投資の強化、などであり、記述量が多いのは、(2)ウィズコロナ・ポストコロナの世界における我が国企業の事業の再構築、(5)足腰の強い中小企業の構築、などである。一定の力点が置かれていると評価できるだろう。また、時間軸が異なる様々な政策の中で、(1)脱炭素化の効果が大きい設備投資についての税制上の措置、(2)DX投資ならびに事業再構築・再編に向けた投資に企業が取り組むための繰越欠損金の控除上限引き上げ、(3)譲渡を受ける中小企業に対する税制上の措置、の3点については「令和3年度税制改正において結論を得る」ことが明記されている。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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