米国BSEの経験から学ぶデカップリングの物価影響

2020.11.10

デカップリングによる長期的な経済影響」では、日欧などの先進国が米国に同調し、中国からの電子機器輸入を制限し3割減らす場合には、輸入制限した地域では電子機器が3~4%ほど値上がりするとの試算を紹介した。「デカップリングによる物価への影響」を考える上では、BSE(牛海綿状脳症)による米国産牛肉の輸入停止措置という経験も興味深いだろう。

2003年度は米国から20万トンの牛肉を輸入していたが(輸入構成比は40%弱)、輸入停止措置を受けて、2004年度の米国からの輸入はゼロとなった。背景などは異なるものの、供給の途絶が物価にどのような影響を与えるかを考える上では、格好のケーススタディかもしれない。

輸入量の急減により、牛肉の自給率は44%に上昇した。国内生産はほぼ変わらずであった一方、豪州からの輸入が大幅に増加した結果、2004年度の生産+輸入は前年度比8%減、輸入量は13%減となった。

2004年度の牛肉価格は国産品が3.8%上昇し、輸入品が13.4%上昇した。価格帯が異なる国産品と輸入品は、別カテゴリーと捉えた方がいいのかもしれない。輸入牛肉に限定して、当時の経験をまとめると、「数量ベースで約4割の供給が減少するところであったが、他からの供給増により、数量の減少は13%にとどまった。一方、価格は13%上昇したので、金額ベースでの市場規模はほぼ変わらなかった」ということになる。

(株式会社フィスコ 中村孝也)


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