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2018.05.24 特別寄稿

仮想通貨市場と日経平均の今後
マネックスグループ松本大社長インタビューvol.4

実業之日本フォーラム編集部

◇以下は、FISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 2018年春号 −仮想通貨とサイバーセキュリティ 』(4月28日発売)の巻頭特集「マネックスグループ株式会社 代表執行役社長CEO 松本 大氏インタビュー」の一部である。全4回に分けて配信する。



昨年秋に仮想通貨ビジネスへの参入を表明したマネックスグループ。今年1月には信 頼性の高い調査・分析結果を顧客に提供するためにシンクタンク「マネックス仮想通貨研究所」をグループ内に設立、4月にはコインチェックのグループ入りを発表した。これまで慎重に参入機会をうかがっていた松本大CEOに、参入の背景や戦略について語ってもらった。市場草創期にありがちな混乱や事件が発生するなかで、個人投資家に安心して仮想通貨市場に参加してもらうためのセキュリティ向上策など、市場の健全な発展に向けての率直な提言をいただいた。


仮想通貨の中長期の展望「不透明だが、しぼむことはない」


―最後に、仮想通貨の市場は今後どうなるとお考えでしょうか?

難しい質問ですが、基本的には50兆円という時価総額になったので、自己的なトラクション(駆動力)というか求心力、重力があって、多分自然に育っていくと思います。これがたとえば10兆円未満だとなくなってしまうかもしれませんが、ここまでくると、一定の重力を持って自己成長していくのではないかというのが、トレーダー的な、金融的な読みです。

でも、実際にはわかりません。これからまた何か事故などが起こる可能性はありますし、規制がどのようになっていくかも見通せない部分があります。その一方で、各国の中央銀行がCBCC(セントラル・バンク・クリプト・カレンシー=中央銀行暗号通貨)を研究しはじめました。

なぜかというと、ビットコインなどの仮想通貨による海外送金や国際決済は非常に安い手数料でできることがメリットの1つとなっていますが、これが一般に普及してしまうと、国としては税金を取り損ねる恐れがあるからです。そこで、こうしたニーズから仮想通貨を購入しようという人たちを対象に、円やドルなどの法定通貨のデジタル版をつくればいいじゃないかということになった。そうすれば国が管理するのだからちゃんと課税もできると。投資目的の人たちは別のところでやってくださいとなるかもしれません。

そうなると、マーケットのあり方、フォーメーションというのはずいぶん変わってくる。だからまだわからないことが多いのも事実です。ただいずれにしろ、時価総額がいったん50兆円までいったので、このまましぼんでいくということは考えにくい、というのが私の見方です。


日経平均3万円予想のその後


―話は変わりますが、昨年注目された松本CEOのご発言、日経平均3万円到達の見通しに変化はありませんか?

昨年10月に打ったプレスリリースの件ですね。内容は「2019年3月末に日経平均株価が3万円に達する」という見通しの発表でした。で、順調にそれに向けて行っていたところ、今年2月の頭に急落した。現状を見る限りでは、ちょっとボラティリティ(価格変動幅)が上がったというリスクはあるけれども、全体の前提は変わってないと思っています。

日本株はこれからも基調としては上がると思いますが、こうした要因で3万円に到達するのは少し遅れると予想します。では、いつ3万円になるのか。3カ月後なのか半年後なのか。イメージとしては、新天皇の即位が来年5月、それに向けてマーケットがすごくよくなると思います。

4月には日本の機関投資家は日本の株は、恐くて売れないかも知れません。この時期に株を売って株価が下がったら何を言われるかわからない。だから株価は上がりやすい。来年のゴールデンウィークは日本中がお祭り騒ぎだと思います。東京だけでなくて、日本中の神社などでは催しがあり、あやかり結婚なども増えるでしょう。それでまたちょっとブーストはかかる。一方、翌20年には東京五輪があるので需要は止まらない。もうちょっといくだろうというイメージです。

そうすると、3万円到達は予想よりも半年ほど遅れそうです。しかし消費税の引き上げのタイミングにぶつかるので、さらに遅れて19年末くらいになるのではないかというのが私の個人的な見通しです。

実業之日本フォーラム編集部

実業之日本フォーラムは地政学、安全保障、戦略策定を主たるテーマとして2022年5月に本格オープンしたメディアサイトです。実業之日本社が運営し、編集顧問を船橋洋一、編集長を池田信太朗が務めます。

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