イスラエルとハマス停戦合意成立(1)

2021.05.24

イスラエルとハマス停戦合意成立(1)
A demonstrator holds a Palestinian flag during a protest in support of Palestinians following a flare-up of Israeli-Palestinian violence, on Republique square in Paris, France, May 22, 2021. REUTERS/Benoit Tessier

2021年5月21日、AFPは、「イスラエル首相府は、エジプトの仲介した無条件停戦を全会一致で承認した。ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスも5月21日午前2時からの停戦発効を認めた」と報じた。ハマスの保健省が5月20日に報じたところによると、これまでの死者は子供65人を含む232人、けが人は1,900人にのぼり、イスラエル側では12人の死亡が確認されている。現地では、停戦報道発表後も断続的にロケット弾の発射が行われ予断を許さない状況だという。ここで、停戦合意に至るまでの経緯をみてみよう。

5月20日、BBCは、「アメリカのジョー・バイデン大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が4回目の電話会談を行い、バイデン大統領は『緊張が大幅に緩和されることを期待したい』と停戦要請を述べたが、これに対し、ネタニヤフ首相は『イスラエル国民に平穏と安全を取り戻すまで攻撃を続けるつもりだ』と応じた」とさらなる攻撃の継続について強い決意だと報じていた。

アメリカとイスラエルの首脳会談の前日、5月19日、イスラエルのテレビ局「チャンネル12」と中東の衛星テレビ局「アル・アラビーヤ」は、「軍事衝突を続けるイスラエルとハマスに対し、エジプトが停戦案を提示し、ハマスが受け入れた」と報じた。エジプトは、イスラエルと国交があり、ハマスとも交渉のパイプを有しており、過去にも両者の停戦を取り持った経験がある。双方に代表団を送り停戦の調整を行ってきた」との仲裁努力を明らかにしている。他方、AFPは、「フランスのエマニュエル・マクロン大統領、エジプトのアブドルファッターフ・シシ大統領、ヨルダンのアブドル・ビン・アル・フセイン国王がビデオ会議で合意し、5月18日に国連安保理に停戦決議案を提出した」と関係国による停戦に向けた動きを報じた。

BBCは、「ハマスの政治部門幹部ムサ・マルズクが、停戦に向けて進められている努力は報われると思う。双方の合意に基づく停戦は一両日中に達成されるだろう」と発表した。ロイター通信も、「ハマスの高官は『5月20日も双方の攻撃が続いているが、1~2日間のうちに停戦合意に至ることを期待する』と述べた」と報じていた。

2021年5月19日、CNNは「ハマスは、9日間で数千発のロケット弾を発射したが、その大部分が、イスラエルの防空システム『アイアンドーム』によって迎撃された。イスラエル軍によると目標となったロケット弾の迎撃率は90%以上に達する。アイアンドームは低空飛行する無誘導ロケットも目標とすることができ、最大射程は70キロだ。各砲台には目標識別の火器管制レーダーや移動式のミサイル発射装置が装備され、移動と設置が容易であるという特徴がある」と説明している。 

イスラエルとパレスチナの紛争は過去の経緯や周辺国の思惑があり、紛争の評価を簡単に断じることはできない。しかし、今回イスラエルのネタニヤフ首相が、バイデン大統領の停戦要請に耳を傾けずパレスチナへの報復攻撃の継続に拘ったのは、ハマスの背後にイランによる支援があり、この支援によりハマスのロケット弾の射距離などの攻撃力が高まったと判断したためだろう。米国は、2020年6月国務省が、「世界のテロの動向に関する報告書を発表し、イランがハマスやヒズボラに対し年間7億ドルの支援を行っている」と指摘し、イランによるハマスへの支援は多くの報道機関等も明らかにしている。

サンタフェ総研上席研究員 將司 覚 防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。

写真:ロイター/アフロ


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