米海軍によると、2021年1月14日から1月28日の間、グアム島のアンダーセン空軍基地及び周辺海域で2021年度米海軍主催固定翼哨戒機多国間共同訓練(シードラゴン2021)が行われた。約2週間にわたり5ヵ国から190人以上の要員が地上訓練などを行い、最終日には米海軍の潜水艦を追跡するハイレベルな訓練が行われた。
青森県三沢基地を拠点とする米海軍第7艦隊哨戒偵察航空部隊(CTF-72)は、海上哨戒偵察機P-8Aポセイドン2機を派遣し、オーストラリア空軍、カナダ空軍、インド海軍、日本の海上自衛隊と共に、毎年恒例の対潜戦(ASW:Anti-Submarine Warfare)訓練を実施した。本訓練は今年で3回目、海上自衛隊からは2回目の参加となった。海上自衛隊海幕広報室によると、海上自衛隊からは鹿児島県鹿屋基地所属の第12飛行隊長岡崎真吾2等海佐を指揮官として固定翼哨戒機(P-1)2機、約40名の人員が本訓練に参加した。
米海軍第5パトロール中隊(VP-5)によると、「本訓練の目的は、先進的なASW技量の向上、米国の同盟国やパートナー国との連携強化および相互理解の深化を図り、太平洋地域の安全保障へのコミットメントを継続的に構築する」とのことだ。
本訓練の最終日には、米海軍ロサンゼルス級原子力潜水艦プロビデンス(SSN-719)を捜索目標として追跡訓練を行い、参加各国のASW能力の向上を図った。米海軍からの参加者は「他の国のクルーと連携して任務に就く機会は非常に貴重で、各参加国のASWに対する哲学や見識を知ることができ有益な訓練になった」と語った。訓練の競争部分では、参加各チームが個別に採点され、最高点を獲得したカナダ空軍407飛行隊チームに「最高得点賞:ドラゴンベルト」が授与された。
訓練を主催した米海軍は、「オーストラリア、カナダ、インド、日本と米海軍は、共通の価値観と航海の自由の伝統を共有する海洋パートナーである。このような訓練を通じて関係を強化し、相互運用性を向上させることができるものと考える。米海軍最大の前方展開部隊である第7艦隊は、西太平洋とインド洋に50隻以上の艦船と潜水艦を配備している。第7艦隊は、35カ国と交流しながら、『自由で開かれたインド太平洋』を維持し、保護する任務を遂行する」と表明している。
サンタフェ総研上席研究員 將司 覚
防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。