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2021.01.15 外交・安全保障

暗号資産投資の意義(4):資産保全のための分散投資の意義

中村 孝也

暗号資産投資の意義(3):金へと変貌する暗号資産」では、デジタル経済を支えるためのデジタル通貨の必要性を紹介した。今回は「資産保全のための分散投資の意義」について述べてみよう。

資産の1%程度を振り向ける「1%投資法」とは、失ってもよい程度の資産を振り向けることで、大幅なリターンを得る可能性をつくるものである。必ずしも全資産の1%にこだわる必要はない。「1%投資法」の本質は、失ってもいいと思える金額で暗号資産投資を行うことにある。資金量は各自異なるだろうが、「1%投資法」であれば、仮に投資した暗号資産が無価値になってもそれほど大きな痛手にはならない一方、仮に100倍に値上がりすれば当初の金融資産は2倍となる。伝統資産で100倍のリターンを期待するのは難しいが、暗号資産投資であれば必ずしも不可能とは限らないかもしれない。

また、資産を保全するための基本的な考え方は分散投資である。金融資産の伝統的な投資対象は預金、株式、債券、不動産などである。ただ、ヘッジファンド、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタルなど伝統資産以外の投資機会をポートフォリオに組み入れる「オルタナティブ投資」の動きは既に始まっている。アフリカのマイクロファイナンスの純粋な事業リスクに100円を投資し、リスク・リターンを共有することも可能となる。価値あるものに投資するという観点では、暗号資産への投資はより真剣に検討されるべきであろうし、アートなども候補にあがろう。前述の金融革命が投資機会を拡大させ、ポートフォリオの有効フロンティアを広げることが期待される。

折しも米中の覇権争いは様々な分野に広がっており、米中デジタル覇権を巡っても、米中デジタル激突、中国デジタル覇権確立、米覇権維持、米中デジタル冷戦、第三極覇権など様々なシナリオが考えられよう。現状のドルは、紛れもない基軸通貨、覇権通貨であるが、ドルが永久に盤石かは定かでない。

一方、足元では日本の貿易収支は辛うじて黒字基調を維持しているが、成熟した日本はかつてのような稼ぎを望むべくもない。世界経済の仕組みがダイナミックに転換している中、新たな産業を構築しなければ、近い将来、日本は大幅な貿易赤字を免れ得ないかもしれない。現在は債権国であるが、ライフサイクル的に考えれば、債権取崩国に転落する未来も十分に考えられる。そう考えると、金融市場のデジタル化を好機と捉え、積極的にデジタル資本の獲得に乗り出すべきところであろう。「積極的にデジタル資本の獲得に乗り出すべき」という点は個人にも当てはまる。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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