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2020.06.09 外交・安全保障

グローバル金融センターランキング:香港の凋落と東京の躍進

中村 孝也

2020年3月に公表されたZ/Yenによるグローバル金融センターランキングは、1位がニューヨーク、2位がロンドン、3位が東京、4位が上海、5位がシンガポールという結果であった。前回(2019年9月)3位であった香港は、6位に順位を大きく落とした。一方、順位を上げたのが東京、上海、シンガポールである。中でも東京の順位が前回の6位から3位に大躍進した点が目を惹こう。

当ランキングは、定量的評価と定性的評価で作成されている。定量的評価は、ビジネス環境、人材資本、インフラストラクチャー、金融セクター開発、評判・一般の5項目で構成される。この5項目では、香港はインフラストラクチャー(5位)、金融セクター開発(6位)、評判・一般(4位)の3つの項目で順位を低下させた。昨年来の社会情勢の悪化が影響した面も大きいのだろう。また、2020年5月の全人代以降、「一国二制度」が「一国一制度」に変わるとの懸念も強まってきており、グローバル金融センターとしての香港の地位は、ますます後退していく公算が大きいだろう。

一方、今回の調査でグローバル金融センターとしてトップ3の評価を得た東京であるが、定量的評価は、ビジネス環境が16位以下、人材資本が11位、インフラストラクチャーが4位、金融セクター開発が10位、評判・一般が6位であり、トップ3とはかけ離れている。全体で3位という評価は定性的評価によるところが大きいのであろうが、明確な指標に基づいていない高評価はやや脆弱にも感じられる。



(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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