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2020.04.01 外交・安全保障

新型コロナショックによる金融機関への影響

中村 孝也

金融市場は依然として不安定な値動きを続けており、コロナショック前と比較すると、株式を始めとした様々な金融商品が大幅に値下がりした状況にある。3月末は日本企業にとって年度末にあたる重要なタイミングである。有価証券の価格変動の影響を強く受けるという意味では、金融機関への影響が気にかかるところであろう。

2020年1月末時点で国内銀行の総資産は1,130兆円、純資産は51.6兆円であった。有価証券は194.4兆円であり、その内訳は国債が58.4兆円、地方債が20.2兆円、短期社債が0.5兆円、社債が29.3兆円、株式が14.6兆円、外国証券が51.8兆円などで構成されている。

上記に含まれていない「その他有価証券」は19.6兆円である。仮にこの部分の価格が3割下落したとすると純資産には4兆円の悪影響が及ぶことになる。もう少し影響範囲を広く見て、「株式」と「外国証券の半分」も価格が3割下落したとすると、純資産には13兆円の悪影響が及ぶと試算される。

実際の影響は各行の運用状況によってまちまちであろうが、13兆円という金額は51.6兆円の純資産にとっては小さくない影響度であろう。この環境下で、そのまま時価会計が適用されるかという論点も興味深いが、仮にスキップされたとしてもそれは一時凌ぎにしか過ぎないことは言うまでもない。



(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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