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2021.03.11 経済金融

景気は大幅改善、緊急事態宣言解除も影響か

中村 孝也

内閣府が3月8日に公表した景気ウォッチャー調査によると、2月の現状判断DI(季節調整値)は前月差10.1ポイント上昇の41.3、先行き判断DI(季節調整値)は前月差11.4ポイント上昇の51.3と大幅に改善した。DI(diffusion index)は各種判断を指数化したものであり、景気の現状または先行きに対する5段階の判断に対して点数を与え、それを各回答区分の構成比に乗じて算出したものである。基準値50を境目として、それを上回れば「改善」、下回れば「悪化」と見ることができる。

現状判断DIは、飲食関連が前月と比較して16.5ポイント上昇の31.6、旅行などを含むサービス関連も12.9ポイント上昇の35.7となった。基準値の50は下回るものの、前月と比較して2桁の上昇となった。首都圏を除いた地域で緊急事態宣言が解除されたことが大きく影響したとみられる。また、基準値を超えている先行き判断DIの項目は、家計動向関連4項目のうち「小売関連」、「サービス関連」の2項目、企業動向関連2項目のうち「製造業」、「非製造業」の両方、および雇用関連であり、いずれも前月比で大きく上昇している。

内閣府は、今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方を「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、感染症の動向を懸念しつつも、持ち直しが続くとみている」とまとめている。

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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