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2021.01.07 外交・安全保障

コロナ後のグローバル化において日本が取るべき対応とは?

中村 孝也

2020年12月8日、経済産業研究所が公表した「これからのグローバル化のあり方-コロナ禍や米中分断の中で日本はどうすべきか?-」では、コロナを機に世界経済の分断が進むなかで、日本は反グローバル化にどのように対応すべきかを議論している。コロナ後は世界経済の分断が予想される一方、グローバル化なくして経済成長は難しい。海外からの経済リスク流入に対しては多様で強いバリューチェーンの構築で、安全保障上の脅威に対しては経済と安保を分ける国際ルールの構築で、経済や安保上の損得を越えた排他主義に対しては国際交流の促進で、それぞれ対応する必要があると結論づけている。

日本にとってグローバル化は、(1)輸出、(2)対外直接投資、(3)対内直接投資、(4)国際共同研究、を通じて経済成長をもたらしてきた。例えば、日本でも国内共同研究より国際共同研究の被引用数が大きいことが、グローバル化の効果の一例として挙げられている。ただ、リーマンショック以降、グローバル化は停滞しており、日本の輸出も伸び悩んでいる。

最近の反グローバル化の要因として、サプライチェーン途絶のリスク、安全保障上のリスク、政治的な理由による貿易規制のリスク、を挙げている。現状、日本の部品貿易は中国、ASEANに大きく依存する一方、中国は日本、米国、韓国、インド、ASEANと分散化に成功している。日本が中国依存を減らすためには、生産拠点の国内回帰やASEAN移転では効果が薄いとして、(1)南アジア、アフリカなどにもサプライチェーンを拡張するとともに、(2)欧米をはじめオーストラリアやシンガポール、台湾等の先進国と知的にもつながった多様なグローバル・バリューチェーンを構築すべきと提案している。

安全保障上のリスクについては、世界GDPの4分の1を占める中国との経済分断は現実的ではないため、安全保障上の脅威を減らしつつ中国と付き合っていくことが提案されている。そのためには経済と安全保障を切り分ける国際ルールが必要であるが、一方で、排他主義、保護主義的政策による分断が経済的、安全保障上の損得を越えて泥沼化し、経済停滞の悪循環に陥る危険性があるため、中国を含めた国際交流を絶やしてはならないと付言されている。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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