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2020.07.27 外交・安全保障

「骨太の方針」に見る「デジタル通貨」と「金融センター」への意思

中村 孝也

7月17日に、骨太の方針「経済財政運営と改革の基本方針 2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」が公表された。7月8日の経済財政諮問会議で示された「骨太方針の原案」は39ページであったが、最終的には41ページに増えた。ただ増加分は「コピペ批判」を受けた修正によるものがほとんどであり、基本的に内容が変わったわけではない。

「原案」から「最終版」にかけて変化したのが、「デジタル通貨」への言及である。具体的には「中央銀行デジタル通貨については、日本銀行において技術的な検証を狙いとした実証実験を行うなど、各国と連携しつつ検討を行う」という文言が、「サプライチェーンの多元化等を通じた強靭な経済・社会構造の構築」の項の末尾に追加された。「検討を行う」という姿勢に変わりはないが、僅か2行ではあっても、骨太の方針で正式に取り上げられたことを受けて、日本がデジタル通貨に積極化したという報道が相次いだ。7月20日に日銀が決済機構局内に「デジタル通貨グループ」を新設したことも報じられている。

一方、「金融センター」については、「世界・アジアの国際金融ハブとしての国際金融都市の確立を目指す」という表現で原案から変わらなかった。前年は「地域金融機関の強化」が掲げられていたが、今回は地域金融機関に関する言及が消えた。他方、地方創生色は引き続き強く、目次部分でも「東京一極集中型から多核連携型の国づくりへ」が掲げられている。

なお、同日に公表された「成長戦略実行計画」では、「国際環境への対応」の項に「国際金融ハブの実現」という単語が入っているが、「デジタル通貨」に関する言及はない。



(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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