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2020.07.16 外交・安全保障

アメリカ企業による香港の見方、目先冷静も中期的には懸念

中村 孝也

7月13日に香港米商工会議所による「AmCham Temperature Survey Findings : National Security Law」が公表された。在香港の米国企業183社を対象として、国家安全法に対する見方を質問したものであり(調査期間は7月6~9日)、6月1~2日に実施された調査(「国家安全法と香港の事業環境」)に続くものである。全会員のうち回答率は15%と、必ずしも全体の傾向を表していない可能性もあろうが、香港の足元の事業環境を理解するには貴重な調査結果である。

それによると、全体の76%が国家安全法に懸念を示した(41%が非常に強い懸念、37%が若干の懸念)。また、過去1ヵ月では、68%が「懸念を強めた」とのことである。「個人的に香港を離れるか」という質問に対しては、7%が「近いうちに離れる」、48%が「中長期的に離れる」と回答した。前回調査では「個人的に香港を離れるつもりはない」という回答は62%であったが、今回は48%に低下した。

国家安全法の成立などを踏まえて、「引き続き様子見」という回答が67.8%と最多であった(前回は香港の優遇政策見直しを受けて、74%が「様子見」と回答)。また、64%が香港からの移管はないと回答。「金融センターとしての香港のゲームチェンジャーになるか」という質問については、45.9%が「Yes」と回答した。目先の冷静さは保たれているものの、中期的な懸念は一段と強まりつつあると見られる。



(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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