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2020.06.16 外交・安全保障

コロナショックによる格差拡大、在外送金は20%減

中村 孝也

世界銀行によると、2019年の在外送金額は総額6,533億ドルであり、送金額が大きい国は、インド(831億ドル)、メキシコ(386億ドル)、フィリピン(352億ドル)、エジプト(268億ドル)、フランス(264億ドル)などであった。送金は中低所得国の貧困を緩和し、栄養状態を改善し、教育への支出を増やし、恵まれない世帯の児童労働を減らすという経済効果があった。

多くの国では、コロナショックに見舞われた3月以降、感染防止のためのロックダウン政策の導入を余儀なくされた。その結果、世界的に経済活動が一時的に大きく縮小したが、その影響は海外労働者も受ける。世界銀行は、2020年の在外送金額が20%減少すると見込んでおり、ヨーロッパと中央アジア(27.5%)、サハラ以南のアフリカ(23.1%)、南アジア(22.1%)で高い減少率が予想されている。

世界のGDP合計に対する在外送金額は0.76%にとどまるため、20%減少したとしても、世界経済全体への影響は限られよう。ただ、その依存度は国によって大きく異なる。特に多くの中低所得国では、在外送金への依存度が高い経済構造の国が少なくないため、在外送金が縮小すると、自国経済の消費に対する悪影響も不可避となる。対GDP比で送金額が高い国は、トンガ(40.7%)、キルギス(33.2%)、ハイチ(32.5%)、タジキスタン(29.0%)、ネパール(28.6%)などである。フィリピン(10.2%)、エジプト(10.2%)なども、在外送金に対する依存度が高い。



(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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