この原稿は、「二酸化炭素排出量の削減が経済に与える影響(1)」に続くものである。
BPは、コロナの影響が世界のGDPを2025年に約2.5%、2050年に約3.5%押し下げると見込んでいる。中でも、インド、ブラジル、アフリカなどの新興国は大きな影響を受けるようだ。その結果として、エネルギー需要は2025年に約2.5%、2050年に約3%減少し、石油需要は2025年に約3Mb/d、2050年に約2Mb/d減少すると見込まれている。2025年の石油需要減少のうち約1Mb/dは様々な行動変化の結果であり、残りの減少は経済環境の悪化によるものとされた。
他方、感染のさらなる波が発生した場合には、世界のGDPは2025年に4%、2050年に10%近く減少すると見込まれている。このケースでは、2050年のエネルギー需要は8%低下し、石油需要は約5Mb/d低下する見込みである。
Rapidシナリオにおける2040年の世界GDPは昨年の想定よりも8%低いが、これは主にCovid-19の影響と、気候変動が経済活動に与える影響に関する新たな仮定を反映したものである。2040年のエネルギー需要は約4%引き下げられたが、石油の下方修正が大きく、2040年の一次エネルギーに占める割合は前回想定を4%ポイント下回る。その背景は、輸送部門へのCovid-19の影響の大きさ、輸送における電気と水素の急速な普及、プラスチック使用に関するより厳しい政策の仮定の反映、などである。
地球温暖化が経済活動に与える影響に関する環境・経済モデルや研究は、潜在的な人的コストの多くを把握していないため、不完全で不確実性も高いが、一つの参考にはなろう。
(株式会社フィスコ 中村孝也)