実業之日本フォーラム 実業之日本フォーラム

デザインについて

 実業之日本フォーラムのサイトデザインは、わが国を代表する世界的なアーティストである杉本博司氏に依頼いたしました。

 古今東西のあらゆる芸術に精通し、写真作家という領域にとどまらない広範な表現活動を続けてきた杉本氏は、一貫して人類の歴史と存在の一過性をテーマにしています。

 長い歴史を持つ実業之日本社が、新たなWEBジャーナリズムのかたちを拓くにあたり、杉本氏は自作のシリーズ『Lightning Field(放電場)』をデザインのモチーフに選ばれました。
雷が電気であることを発見したベンジャミン・フランクリンの実験を再現したこの作品について、氏は、
「命がけで研究に取り組んだ先人達の大発見に敬意を払って、そしてそれを自分の眼で確かめたかった。写真乾板の上に直接人工的な閃光を起こす放電実験によって生まれるこれらの作品は、人間に制御可能な何かと不可能な何か、またその関係性の歴史も連想させる」
と解説しています。

 私たちのめざすジャーナリズムは、地政学、地経学的な時代に突入した世界で起こった営みの表層を記録するだけでなく、常に過去と照射しながら、未来を映し出す存在となることです。

 科学者の寺田寅彦は随筆『文学と科学』の中で、文章の効能を「ある瞬間までに読んで来たものの積分的効果が読者の頭に作用して、その結果として読者の意識の底におぼろげに動きはじめたある物を、次に来る言葉の力で意識の表層に引き上げ、そうして強い閃光でそれを照らし出す」と表現しました。
杉本氏の『Lightning Field』が切り取った閃光のような鋭さで、読者の皆様の感性や知性を照らし出す情報を、私たちは全力で提供してまいります。


実業之日本フォーラム(ジャパン ナショナル フォーラム)ロゴの由来

杉本博司

 私は日本の高度経済成長と共に成長した。その頃、日本の未来は輝いていた。もっと良い明日のために努力は惜しまれなかった。残業も徹夜もあった。しかしきつい仕事には報われる未来が待っていた。今私たちはそれらの感覚すべてを失ってしまった。

 そんな活気に満ちていた時代、デザインにも活気がみなぎっていた。1964年、丹下健三の国立競技場は今も輝いている。2020年、私たちはザハの斬新を拒否して凡庸を選択した。亀倉雄策オリンピックポスターの秀逸。今回は記憶にも残らない。すべてが後退局面に入ったこの国に気概を取り戻すために、私は意図してあの頃の感性を蘇らせてみたいと思った。

 それは「国鉄」のロゴだ。鉄道少年だった私にとって、そのデザインは憧れの的だった。Japan National Railway の頭文字をとった「JNR」。スピード感を表現したデザイン、人と物の流れを象徴していた。そして硬直化した国営企業は解体され民営化してみると、今のJRという凡庸に改変されてしまった。世の中を良くするということは、世の中を凡庸化することなのだ。

 明治に創業した実業之日本社が、令和の今、日本の国益とは何かを議論するメディア「実業之日本フォーラム」を始めるという。その気概やよし、私はJNRのRをFに変えて、Jitsugyo no Nihon ForumすなわちJapan National Forumのロゴとし、その背後に日の丸を配した。Nの左足が二筋にデザインされているのは、そこにIの文字をも見ることができるからだ。そこにはJapan National Forum は同時にJapan International Forumでもあるというメッセージを込めている。これからの世に愛は欠かせない。