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戦略形成とは

戦略形成

全ての実践的な戦略行動は、規範的戦略と創発的戦略の組み合わせによって創出されます。規範的な戦略 は、現状の適切な分析とそれに基づく改善の方向性から論理的に導かれますが、創発的な戦略は、規範的 戦略の実行過程において発生する新たな実行モデルのダイナミズムを戦略的に解釈することで創出されま す。規範的戦略形成と創発的戦略形成の相互作用の結果として創出された戦略は、戦略資産の開発に指向 されます。

規範的戦略形成

自国分析で明らかになった「強み」は拡大し、「弱み」は補強する必要があります。「強み」は環境にお ける「機会」に対し集中して指向することでその効果を増大させることができますが、「弱み」は「脅威」 から大きな影響を受けることになります。このため、「弱み」は「脅威」へ対抗するために補強する必要 があり、「強み」を拡大することで「脅威」への有効な対抗策となる場合もあります。このような改善の 方向性の検討から、重点的に取り組むべき項目が具体化され、規範的戦略が創出されることになります。

SWOT分析

SWOT分析によって、日本を取り巻く内外の環境要因を評価し、日本の強み(S)と弱み(W)、外部環境に おける機会(O)と脅威(T)を明らかにします。この分析に基づく改善の方向性から、重点的に取り組む べき項目(テーマ)を見出すことで規範的な戦略を創出することができます。そのためには、内外の環境 要因を網羅的に把握することが必要になります。今回の分析では、3C分析の項目と国家経営の基本的な機 能による要因把握の枠組みを考察しました。

重点項目の選択

SWOT分析で把握した事実を下のマトリックスに当てはめて、O*S、O*W、T*S、T*Wの4区分の軽重や具 体的な項目の重要性を判定し、戦略形成の対象となる重点項目を選択します。具体化された重点項目に対 して、戦略資源の配分などの全体設計を最適化することで規範的な国家戦略が策定されます。策定された 国家戦略に基づいて政策等が実行に移されますが、その過程で創発的戦略形成が促進されることになりま す。

創発的戦略形成

規範的アプローチで策定された戦略を実践する中で発生する新しい潮流を汲み上げることで、新しい環境 認識や実行モデルが形成されます。環境認識は絶えず刷新され、実行モデルは試行錯誤を繰り返すことに よって一定のパターンが形式化されます。そのダイナミズムを規範的戦略形成における戦略分析の視点で 再解釈することによって、創発的な戦略は形成されます。そして、それぞれに形成された戦略を実行した 結果として、戦略資産が形成されることになります。