コロナショックを受けて社債やソブリン債の格下げが続出したが、足元では格下げの動きは一服しつつあるようだ。それにやや遅行する形でデフォルト率が上昇し始めている。
S&Pによると、世界の社債デフォルトは、2018年が43件、2019年が49件であったが、2020年は既に83件がデフォルトに陥った。既に2009年以来の高水準となっている。米国の投機的格付社債のデフォルト率(12ヵ月平均)は3月の3.5%から4月は4.1%に上昇した。そして、このデフォルト率は、2020年3月の3.5%から2021年3月に12.5%へ上昇すると予想されている。233件がデフォルトに陥り、デフォルト率はほぼ過去のピークに近い水準まで上昇するという見通しである。このメインシナリオに対して、楽観シナリオでのデフォルト率は6%、悲観シナリオでは15.5%と見込まれている。
デフォルト率の上昇は、社債に限定された話ではない。Moody’sは新興国の投機的格付け債券のデフォルト率が、直近の2.2%から2020年末で13.7%へ上昇すると予想している。従来予想は8.3%であったが、大きく上方修正された格好である。コロナショックを受けて矢継ぎ早の金融緩和が繰り出された結果、株式市場では楽観論が支配的なようにも見えるが、決して全てが救われているわけではない。
(株式会社フィスコ 中村孝也)