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2020.04.30 外交・安全保障

新型コロナウイルス感染者数推計(再陽性及び接触制限解除)

実業之日本フォーラム編集部

前回の「新型コロナウイルス感染者数推計」では、「全国」「東京」「大阪」の3地域を対象に、4月8日以降に「人同士の接触制限」が実施されたことによる新型コロナウイルス感染者数への影響を推計した。人同士の接触機会を抑制しなければ感染のピークは4月23日~5月12日まで後ずれする一方、人同士の接触機会を80%減少させることで4月19日に感染のピークを迎えられることを確認した。

今回、新たに2つの推計を行った。第1の推計は、前回の結果に再陽性率要素を加えて、再推計したものである。再陽性率は、韓国の検証結果を参考にしたケース(1.56%)と、10%の場合の2通りを考慮した。例えば「基本再生産数が2.0、人同士の接触機会が50%減」であった場合、再陽性率が0%であれば、感染のピーク時人数は4月19日の347,100人、トータル人数は9,436,698人と推計される。一方、再陽性率が1.56%の場合には、ピーク時人数が4月19日の347,100人、トータル人数は9,455,114人、10%の場合には、ピーク時人数が4月19日の347,103人、トータル人数は9,559,982人と推計された。他のケースについても再陽性率の高低による感染者数への影響は限定的であり、ピーク時期などにはほぼ影響しないことが読み取れる。

第2の推計は、5/7に接触制限が解除された場合の第二波のピーク日、ピーク日の感染者数及び総感染者数を推計したものである。「基本再生産数2.0、人同士の接触機会50%減」であった場合には、全国の第二波ピークは5月17日の34,178,675人、トータル人数は126,800,043人と推計される。また、「基本再生産数2.0、人同士の接触機会80%減」というケースでは、全国の第二波ピークは6月4日の42,525,910人、トータル人数126,800,026人と推計される。この推計は気温や湿度などの季節的要因を考慮していないため、その影響が感染拡大を抑える可能性はあるかもしれないが、5/7の接触制限解除はサイレントキャリアからの再感染を発生させ、第一波よりも大きな感染ピークを招く可能性を示唆する推計結果となった。

なお、感染者数の数値はサイレントキャリアも含む感染数予測値であり、検査人数等その他要因を踏まえた公表感染者実数との乖離が発生する点にはご留意いただきたい。


(1)再感染が一定割合発生した場合の影響について日本の感染者数に与える影響


基本再生産数1.4、人同士の接触機会±0%

再陽性率0%:ピーク時人数8,235,850(5/12)、トータル人数78,000,598
再陽性率1.56%:ピーク時人数8,235,853(5/12)、トータル人数78,004,859
再陽性率10%:ピーク時人数8,237,150(5/12)、トータル人数78,028,031


基本再生産数1.4、人同士の接触機会50%減

再陽性率0%:ピーク時人数9,827(4/19)、トータル人数60,738
再陽性率1.56%:ピーク時人数9,827(4/19)、トータル人数60,738
再陽性率10%:ピーク時人数9,828(4/19)、トータル人数60,798


基本再生産数1.4、人同士の接触機会80%減

再陽性率0%:ピーク時人数9,827(4/19)、トータル人数41,674
再陽性率1.56%:ピーク時人数9,827(4/19)、トータル人数41,674
再陽性率10%:ピーク時人数9,828(4/19)、トータル人数41.674


基本再生産数2.0、人同士の接触機会±0%

再陽性率0%:ピーク時人数42,768,475(4/27)、トータル人数126,800,064
再陽性率1.56%:ピーク時人数42,768,569(4/27)、トータル人数126,800,129
再陽性率10%:ピーク時人数42,768,476(4/27)、トータル人数126,800,486


基本再生産数2.0、人同士の接触機会50%減

再陽性率0%:ピーク時人数347,100(4/19)、トータル人数9,436,698
再陽性率1.56%:ピーク時人数347,100(4/19)、トータル人数9,455,114
再陽性率10%:ピーク時人数347,103(4/19)、トータル人数9,559,982


基本再生産数2.0、人同士の接触機会80%減

再陽性率0%:ピーク時人数347,100(4/19)、トータル人数928,643
再陽性率1.56%:ピーク時人数347,100(4/19)、トータル人数928,644
再陽性率10%:ピーク時人数347,103(4/19)、トータル人数928,651


基本再生産数2.5、人同士の接触機会±0%

再陽性率0%:ピーク時人数52,486,091(4/23)、トータル人数126,800,069
再陽性率1.56%:ピーク時人数52,485,999(4/23)、トータル人数126,800,111
再陽性率10%:ピーク時人数52,485,501(4/23)、トータル人数126,800,342


基本再生産数2.5、人同士の接触機会50%減

再陽性率0%:ピーク時人数6,423,282(4/24)、トータル人数63,922,988
再陽性率1.56%:ピーク時人数6,423,295(4/24)、トータル人数63,923,560
再陽性率10%:ピーク時人数6,423,367(4/24)、トータル人数63,926,882


基本再生産数2.5、人同士の接触機会80%減

再陽性率0%:ピーク時人数3,204,792(4/19)、トータル人数8,363,452
再陽性率1.56%:ピーク時人数3,204,797(4/19)、トータル人数8,363,464
再陽性率10%:ピーク時人数3,204,821(4/19)、トータル人数8,363,530


(2)5/7に接触制限が解除された場合の第二波のピーク日、ピーク日の感染者数及び総感染者数


基本再生産数1.4、人同士の接触機会50%減

東京:第二波ピーク時人数895,239(6/16)、トータル人数8,548,540
大阪:第二波ピーク時人数567,725(6/16)、トータル人数5,410,842
全国:第二波ピーク時人数8,184,345(6/21)、トータル人数77,690,781


基本再生産数1.4、人同士の接触機会80%減

東京:第二波ピーク時人数901,999(6/20)、トータル人数8,537,960
大阪:第二波ピーク時人数571,705(6/19)、トータル人数5,411,773
全国:第二波ピーク時人数8,232,302(6/28)、トータル人数69,777,794


基本再生産数2.0、人同士の接触機会50%減

東京:第二波ピーク時人数2,218,544(5/17)、トータル人数13,447,979
大阪:第二波ピーク時人数1,381,885(5/17)、トータル人数8,481,483
全国:第二波ピーク時人数34,178,675(5/17)、トータル人数126,800,043


基本再生産数2.0、人同士の接触機会80%減

東京:第二波ピーク時人数3,947,133(5/31)、トータル人数13,942,885
大阪:第二波ピーク時人数2,605,932(5/31)、トータル人数8,825,104
全国:第二波ピーク時人数42,525,910(6/4)、トータル人数126,800,026


基本再生産数2.0、人同士の接触機会50%減

全国:第二波ピーク時人数172,912(5/28)、トータル人数89,827,177


基本再生産数2.5、人同士の接触機会80%減

東京:第二波ピーク時人数1,734,751(6/5)、トータル人数13,460,164
大阪:第二波ピーク時人数1,025,203(6/4)、トータル人数8,432,546
全国:第二波ピーク時人数53,395,167(5/29)、トータル人数126,800,033



(サンタフェ総合研究所)

実業之日本フォーラム編集部

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