猛威が続く新型コロナウイルスも「夏場になれば終息する」との見方がある。一方で、「再感染リスク」への警戒感も根強い。1918年3月に米国とヨーロッパで第一波が発生したスペイン風邪は、(北半球の)晩秋から第二波が、冬である1919年初に第三波が始まった。
4月7日付サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙は「Coronavirus: low antibody levels raise questions about reinfection risk」という記事を掲載した。4月6日にMedRxivに投稿された「Neutralizing antibody responses to SARS-CoV-2 in a COVID-19 recovered patient cohort and their implications」を紹介したものであり、「抗体の水準が低いと再感染リスクが残る」ことを指摘している(リバウンドまたは再感染のリスクが高いかどうかは、今後の課題とされている)。
復旦大学のチームが上海公衆衛生クリニックセンターから退院した175人の患者の血液サンプルを分析した結果、3分の1近くの患者の抗体の力価(医薬品が一定の生物学的作用を示す量)は500未満であった。感染しないためには抗体の力価が低すぎる可能性を指摘している(抗体が検出されなかったケースもあるそうだ)。
抗体の力価の水準は、年齢とともに上昇することも示されている。抗体の力価の低水準の患者のほとんどは若者である。また、60~85歳のグループの人々からは、15~39歳のグループの人々の3倍以上の抗体が検出されている。
中国から感染が拡大した新型コロナウイルスだが、日韓にも拡がり、今では欧米が感染拡大の中心地になっている。東アジアにととまらず、全世界的にヒトやモノの流れが遮断された格好だ。1ヵ国の感染が沈静化しても、他国からの再流入があり、さらに再感染のリスクが残るとなると、その抑え込みは容易でない。グローバルに張り巡らされたサプライチェーンは大きく寸断され、ヒトの行き来の抑制で国内消費も相当の落ち込みが続いている。その寸断、消費の抑制も早くて数ヶ月、1年単位で続くと考え、行動する必要が出てきている。企業の倒産が相次げば金融システムの破壊も進み、リーマン・ショックをはるかに上回る事態に陥ることになる。
(株式会社フィスコ 中村孝也)