◇以下は、FISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 2018年冬号 −10年後の日本未来予想図』(10月5日発売)の巻頭特集「LONGHASH Japan代表取締役 クリス・ダイ氏インタビュー」内に掲載しているコラム「法規制から見たブロックチェーン・ビジネスと日本」である。
今年2月に設立されたLONGHASH Japanは、分散型ビジネスモデルを可能にするブロックチェーン活用事業の支援を主軸として設立された注目の企業である。今回は、LONGHASHの共同創業者で法規制面を担当し、米国務省のポリシーアドバイザーの経歴を持つエミリー・パーカー氏に、法規制から見たブロックチェーンビジネスについてお話を伺った。
―法規制という観点において、ブロックチェーンビジネスを展開するのにどこの国が理想的だと考えますか?また、その中で日本をどのように見ていらっしゃいますか?
ブロックチェーンを巡る規制環境は、変化し続けています。仮想通貨は、世界各国の政府に挑戦をもたらしていることから、今、ブロックチェーンに友好的に見える国が、規制強化国に変わることもあり得ます。
ブロックチェーンは新しい技術であり、規制当局は前に進むにあたって一番良い道筋を模索しています。こうした理由から、ブロックチェーンビジネスを展開するのに、どこの国が一番「理想的」か判断することは難しいのです。ブロックチェーンコミュニティーの人々は、シンガポールや香港のような場所を比較的オープンだと見ているようですね。
日本は昨年、世界から仮想通貨の首都だと見られていました。これは、日本が仮想通貨に関して比較的明確な法的枠組みを導入したからです。しかし、今年はじめに起きた仮想通貨取引所コインチェックのハッキング事件の後は、規制環境はより厳しいものとなりました。
たとえば事件以降、金融庁から新たに認定を受けた仮想通貨取引所は一つもありません。かつては、ブロックチェーンのスタートアップ企業は日本でビジネスを行うことを望んでいましたが、規制が厳しくなり過ぎれば、それら企業は他の国に行ってしまうでしょう。これは、日本にとって残念なことです。日本は、世界中から才能を惹きつけるチャンスを持っており、ブロックチェーン技術の中心になることもできる。日本がイノベーションを阻害することなく、明確なルールを制定する方法を見つけることを願っています。