12月14日に発表された日銀短観では、全規模・全産業の直近DIがマイナス15と、9月調査のマイナス28から改善した。先行きDIはマイナス18で、若干低下が予想されている。製造業は横ばいから若干改善が見込まれている一方、非製造業は若干の悪化が予想されており、特に規模の小さいところで予想悪化幅が大きい。GoToトラベルなどの恩恵もあり、いったん改善したものの、新型コロナウイルスの感染再拡大などが懸念されているようだ。
大企業・非製造業の業況判断DIはマイナス5と、前回調査に比べて7ポイント改善した。一方、中小企業は厳しく、足元の業況判断DIでマイナス12となった。幅広い業種でコロナ感染再拡大の影響が懸念されており、先行きさらにマイナス20への悪化が見込まれている。とりわけ非製造業において、建設、不動産、宿泊・飲食サービスで2桁の悪化幅が予想されている。建設の投資需要減少や、GoToトラベルの見直し、飲食店における営業時間短縮の影響が懸念される。
売上・利益については、2020年度の全産業で8.6%減収、35.3%経常減益計画である。9月調査から増収率で2.1ポイント、経常増益率で9.5ポイント下方修正された。上期は43.4%経常減益であったのに対して、下期は25.3%経常減益計画である。全規模の資金繰り判断DIは9月調査のプラス5からプラス7に改善する一方で、貸出態度判断DIはプラス19からプラス18に若干低下した。
(株式会社フィスコ 中村孝也)