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2020.12.21 外交・安全保障

IMFによるコロナショック支援・アップデート

中村 孝也

2020年6月11日の「IMFによるコロナショック支援」では、コロナショックに対するIMF(国際通貨基金)の迅速な緊急支援プログラムのもとで、66ヵ国を対象として、236億ドルの緊急支援が実施されたことを紹介した。地域別に見た内訳は、サブサハラアフリカが98億ドル、中東・中央アジアが70億ドル、アメリカ大陸・周辺が46億ドル、アジア太平洋が11億ドル、欧州が10億ドルであった。

当時、IMFは100ヵ国以上から緊急融資要請を受けており、資金調達需要を約1,000億ドルと見込んでいたが、足元までの金融支援は、83ヵ国、総額1,021.5億ドルに達しており、金額ベースでは当時の想定を若干上回る状況である。地域別に見ると、西半球が637億ドル、サブサハラアフリカが161億ドル、中東・中央アジアが143億ドル、欧州が61億ドル、アジア太平洋が18億ドルであり、南米を中心とした西半球からの支援要請によって、総額が大きく積みあがったようだ。

IMFは1兆ドルの貸出余力があると延べている。無限ではないが、すぐに貸出余力が尽きてしまうこともなさそうだ。ただ、金融支援は援助ではなく、あくまでも融資である。支援受入国にとって、コロナショックからの立ち直りが厳しいことに変わりはない。弱い国力しか持たない国は、第四次産業革命をリードすることも、魅力的な市場となることもできず、世界経済から取り残される危険性があるが、コロナによる二極化がさらに拍車をかけることになる。そういった状況下、米中の鍔迫り合いによる陣取り合戦の激化も予想されよう。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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