OECDが12月に発表した景気見通しでは、2021年末までにワクチンが広く展開され、ウイルスの抑制ができた場合、今後2年間にわたって世界経済は緩やかに回復することが見込まれている。世界の経済成長率は2020年がマイナス4.2%成長、2021年がプラス4.2%成長の見通しとなっている(9月の中間報告では2020年がマイナス4.5%成長、2021年がプラス5.0%成長予想であった)。中国の急速な回復が寄与し、世界のGDPは2021年末までには危機以前の水準に達しようが、国によってパフォーマンスは大きく異なると予想されている。
2020年第2四半期には多くの国で生産高と個人消費が大幅に減少したが、減少の程度は国によって大きく異なり、GDPと個人消費が15%以上減少した国もあれば、5%以下の国もあった。本レポートでは、封じ込め措置の厳しさおよび人の移動と、GDP成長率および民間消費伸び率との間に強い相関関係があることが示されている。
オックスフォード大学による政府が取った政策措置の厳格さをスコア化した指数「Oxford Stringency Index」(=厳格化指数)と、Googleが算出している滞在人数・時間を示す「モビリティ指数」を利用すると、厳格化指数が10ポイント上昇した場合には四半期GDP成長率は約1%ポイント低下、実質民間消費の伸び率は0.6%ポイント低下する一方、モビリティ指数が10ポイント低下した場合には四半期GDP成長率が約1.7%ポイント低下、実質民間消費の伸び率は2.8%ポイント低下するという関係が確認された。
2020年第2四半期における措置の厳格さや人の移動がGDP成長率と相関関係があると結論づけるには時期尚早かもしれないが、措置を大幅に強化し、人の移動が著しく低下している国では、2020年第4四半期に経済成長率が再びマイナスに転じる可能性を示唆している。
(株式会社フィスコ 中村孝也)