菅政権のもと、成長戦略会議が立ち上げられた。会議の趣旨は「経済財政諮問会議が示す経済財政運営と改革の基本方針等の下、我が国経済の持続的な成長に向け、成長戦略の具体化を推進するため、成長戦略会議を開催する」と説明されている。経済財政諮問会議と成長戦略会議は相互に連携し、機能分担を図りながら政策を推進していくとのことであり、経済財政諮問会議が経済財政運営と改革の基本的な方針を提示する一方で、成長戦略会議が骨太方針、諮問会議の大きな方向性と重点課題に沿って、改革を具体化していくという役割分担が想定されている。これを受けて、日本経済再生本部と、その下にある未来投資会議は廃止された。
10月16日開催の第1回成長戦略会議では「成長戦略のKPIの達成に向けた進捗が十分ではないものについてその課題分析を行うべき」との指摘がなされ、主要な検討事項に関連のあるKPIのうち、2019年度末時点の進捗が十分でないものについて、足下での進捗状況と、目標達成に向けた課題分析が求められた。KPI157項目については、A評価(目標達成期間に対する経過期間の割合以上に、KPIが目標達成に向けて進捗しているもの)が63項目、B評価(AほどKPIが進捗していないもの)が74項目、N評価(今後、データが得られるため、現時点で評価困難なもの)が20項目とされた。
他方、主要な検討事項として、「ウィズコロナ、ポストコロナの世界における我が国企業の事業の再構築、生産性の向上、労働移動の円滑化、強靱なサプライチェーンの構築、新しい働き方の実現、足腰の強い中小企業の構築、バーチャル株主総会の実現などビジネス上のイノベーションの推進、グリーン成長というこのエネルギー・環境政策の再構築など」が挙げられた。その結果、16項目についてKPIの進捗状況と目標達成に向けた課題分析が示され、その現状分析に沿って、第2~4回の成長戦略会議では個別論点に関する議論が開始されている。
(株式会社フィスコ 中村孝也)
写真:つのだよしお/アフロ