11月20日、経済産業省は、サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金に関して、146件、2,478億円を採択したことを公表した。コロナショックでサプライチェーンの脆弱性が顕在化したとの認識から、生産拠点の集中度が高い製品・部素材、または国民が健康な生活を営む上で重要な製品・部素材に関し、国内の生産拠点等の整備を進めることにより、製品・部素材の円滑な供給を確保するなど、サプライチェーンの強靱化を図ることを目的とし、工場の新設や設備の導入を支援するものである。
具体的には、「生産拠点の集中度が高い製品・部素材」として半導体関連、航空機関連、車載用電池関連、レアメタル関連、ディスプレイなどの56件、「国民が健康な生活を営む上で重要な製品・部素材」として消毒用アルコール、マスク(サージカルマスク)関連(部材含む)、医療用ガウン関連、手袋(医療従事者用)などの90件が採択された。
台湾の「歓迎台商回台投資行動法案」による回帰投資との比較感からは、1社当たりの投資金額はかなり小粒なようにも見受けられる。先行審査受付分を除くと応募は1,670件、1兆7,640億円あったことから、潜在的なニーズは相応に高かったようであるが、予算面の制約も強く、今回の採択率はかなり低位にとどまったようである。これで1次補正と予備費で計上した予算は使い切られたことから、現在指示が出ている3次補正予算で追加するかについての検討が行われている。なお、先立つ11月5日には、「海外サプライチェーン多元化等支援事業」について、二次公募・応募のあった64件について審査を行った結果、21件が採択されたことも公表されている。
(株式会社フィスコ 中村孝也)