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2020.11.25 外交・安全保障

弱い国、弱い産業に厳しいコロナショック

中村 孝也

世界銀行の「Firms struggle to stay afloat after losing half of sales, but still keep workers」では、コロナショックが発展途上国の企業や労働者に与えた影響について言及している。調査は、2020年5月から8月にかけて発展途上国51か国の中小企業を対象として実施された。回答によると、企業はこれまで労働者の解雇を抑制し、景気後退を乗り越えようとしているが、危機によって売り上げが半減したため、財務状況が悪化しているという。

発展途上国の企業のうち約84%の企業で、2019年の同時期よりも売上高が減少した。減少率は平均49%であり、危機のピークから4ヵ月後でも売上高は40%以上減少したままである。労働者を解雇した企業は20%未満にとどまっており、64%の企業は労働時間や賃金を削減、調整している。特に調整が大きかったのは、観光関連など最も打撃を受けたセクターであった。

売上の減少で多くの企業の財務状況は厳しくなっており、中小企業の半数以上は既に借入金の返済を延滞しているか、今後6ヵ月以内に延滞に陥ると予想している。低・中所得国の企業が延滞に陥る可能性は高所得国の企業よりも約50%高く、バングラデシュや南アフリカの企業が延滞する可能性はギリシャやポーランドの企業の3倍以上である。

国内での企業間格差も非常に大きい。例えば、コートジボワールの下位10%の企業が保有する現金では14日間のコストしかカバーできないが、上位10%は112日間もカバーが可能である。最も打撃を受けたセクターである宿泊施設のうち62%、飲食のうち56%の企業が既に延滞しているか、今後6ヵ月以内に延滞に陥ると予想している一方、金融サービスやICTではその比率はそれぞれ35%、43%にとどまる。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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