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2020.05.20 外交・安全保障

コロナショックと戦争(1):第二次世界大戦中の日本経済

中村 孝也

コロナショックは戦争と比較されることも少なくない。3月16日にマクロン大統領は「我々は(ウイルスとの)戦争状態にある」と強調し、3月18日にトランプ大統領は「自分は戦時の大統領。戦争には打ち勝たなければならない」と述べた。今回は、第二次世界大戦中の日本経済を振り返ってみたい。

日本のGDPは第二次世界大戦中の1940~44年は緩やかな減少にとどまり、大幅に落ち込んだのは1945~46年であった。「通産省指数」では、1940年が153.2、1941年が158.4、1942年が154.4、1943年が156.1、1944年が158.6、1945年が69.8という推移を辿った。1946年には開戦前の1/5の水準にまで落ち込んだそうだ。太平洋戦争前と同水準を取り戻したのは、敗戦から10年後の1955年を待つ必要があった。

人々の行動を制約したり、死亡者増加による経済への悪影響が発生するという点では、戦争とコロナショックは共通している。一方、戦争では供給能力が破壊され、軍需が創造されるが、コロナショックでは、供給能力は破壊されず、需要創出もマスクや医薬品などにとどまる点が異なる。もっとも、今後、米中覇権争いも相俟ってグローバルサプライチェーンが再構築され、既存の供給能力が破棄される方向に向かうのであれば、コロナショックが戦争と似た意味合いを強めていくのかもしれない。



(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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