「レバノンデフォルトの次は?【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】」でも論じた通り、レバノンでは外貨準備高の減少が継続していたことから、デフォルト宣言は時間の問題であったのかもしれない。世界の金融市場が信用リスクに警戒感を高めており、国の信用力への注目度も増している。
一般的に注目されるのは外貨準備高である。外貨準備高の上位国は、中国が3.2兆ドル、日本が1.3兆ドル、スイスが0.8兆ドル、サウジアラビアが0.5兆ドル、ロシアが0.5兆ドルなどである。もっとも対外純資産の方が外貨準備高よりは広い概念であり、そちらも併せ見ることが重要であろう。対外純資産から(引き揚げに時間を要する可能性が高い)直接投資を除外した部分を見ると、中国が3.0兆ドル、日本が1.7兆ドル、ドイツが1.7兆ドル、シンガポールが1.3兆ドル、香港が1.4兆ドルとなる。上位国の顔ぶれは随分と変わる。
韓国の2月貿易収支は41億ドルの黒字であったが、1ドル1,300ウォンに迫るウォン安が進んでいる。外貨準備高は4,244億ドル、対外純資産は4,360 億ドルとそれほど規模感は変わらないが、直接投資を除外した対外純資産は2,756億ドルであり、かなり小さく映る。もっとも、3月19日に新型コロナウイルスによる危機対応の一環として、米連邦準備理事会(FRB)と韓国銀行が600億ドル限度の通貨スワップ協定を締結しており、目先のリスクは回避された。ちなみに、今回の協定の期間は少なくとも6カ月となり、2007~2009年の金融危機時にも通貨スワップ協定を締結していた。
(株式会社フィスコ 中村孝也)