実業之日本フォーラム 実業之日本フォーラム
2018.10.09 特別寄稿

社会の変化に基づき投資することが重要
デジタル資本主義がやってくるvol.1

実業之日本フォーラム編集部

フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議の主要構成メンバー
シークエッジ グループ代表 白井一成
フィスコIR取締役COO 中川博貴
フィスコ取締役 中村孝也

【フィスコ世界経済・金融シナリオ会議】は、フィスコ・エコノミスト、ストラテジスト、アナリストおよびグループ経営者が、世界各国の経済状況や金融マーケットに関するディスカッションを毎週定例で行っているカンファレンス。主要株主であるシークエッジグループ代表の白井氏も含め、外部から多くの専門家も招聘している。それを元にフィスコの取締役でありアナリストの中村孝也、フィスコIRの取締役COOである中川博貴が内容を取りまとめている。2016年6月より開催しており、これまでにも今後の中国経済、朝鮮半島危機、第四次産業革命後の日本経済の分析、仮想通貨と日本経済のゆくえなどの分析・考察を行ってきている。


◇以下は、フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議で議論したことをFISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 2018年冬号 −10年後の日本未来予想図』(10月5日発売)の特集『デジタル資本主義がやってくる ~パワーシフトの波に乗れ!~』でまとめたものの一部である。全8回に分けて配信する。



「10年後の日本未来予想図」という今号の特集テーマに際し、フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議では、10年後の未来を考えるにあたり、その根幹を貫くキラーワードが「デジタル資本主義」であると考えた。「デジタル資本主義」とは何なのか。それが我々の住む日本に何をもたらすのか。同分析会議の主要構成メンバーの1人であるフィスコIR取締役COOの中川博貴氏に話を伺った。


変化に対応して投資しなければ資産は守れない


インターネットの普及前、その可能性を信じた人が財力を手に入れた


インターネットは社会を大きく変えた。しかし、その変化は日常生活のなかで徐々に進行したため、「気がつけばいつの間にかインターネットが重要な社会インフラになっていた」——というのが正直な感想ではないだろうか。そのとき、目の前で少しずつ変化が起こっていることには気づくものの、世の中が大きく変化していることに気づくのは、一定の時間が経過してから過去を振り返ったときだ。

ほんの25年前まで、インターネットで買い物をする人はほとんどおらず、携帯電話は話すためだけに使われていた。それが今ではスマートフォンを使ってインターネットに接続し、そこから買い物をするのがごく当たり前になっている。

アメリカの未来学者アルビン・トフラーは、インターネットがまだ一般に普及する前、1990年の段階で「20世紀は、財力と権力を持つ者が実権を担い、勝ち抜いてきたが、21世紀は政治・経済・日常生活などのあらゆるシーンで知識や筋力、情報力が時代の中心となり、権力の移行が進行する」と、情報革命の到来を予知するかのような説を唱えていた。

しかし、インターネットとそれに付随する新たなデジタル技術がもたらす革命は、情報革命だけではない。インターネットの本格的な普及を前に、その可能性を信じた人は大きな財力を手に入れた。ソフトバンクの孫正義氏や、わずか27歳でインターネット関連事業を行うITベンチャー「オン・ザ・エッジ」の上場を果たしたホリエモンこと堀江貴文氏などはその象徴的な存在だ。


社会の変化に基づいた投資行動を起こすことが重要


インターネットの普及から20年以上が過ぎ、今度は、インターネットの存在を前提とした新技術である仮想通貨とブロックチェーンに注目が集まっている。

資本主義はこれまでの歴史のなかで、その時代背景とともに都度変容してきたが、これからは前述のインターネット普及とそれに付随する新技術の誕生を背景に「デジタル資本主義」が訪れるといわれている。デジタル資本主義の到来によって起こる社会の変化を感じ取り、それに基づいた投資行動を起こすことが、これまで以上に資産形成にとって重要になってくるということだ。

たとえば、仮想通貨を使える店舗が徐々に増えているように、仮想通貨は確実に実体経済に浸透してきている。その変化を読み取って投資行動を起こせる人と、そうでない人では、将来、受け取れる果実の量に大きな違いが出てくる可能性がある。


(つづく~「デジタル資本主義がやってくるvol.2 第一次産業革命による産業資本主義の誕生【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】」~)

実業之日本フォーラム編集部

実業之日本フォーラムは地政学、安全保障、戦略策定を主たるテーマとして2022年5月に本格オープンしたメディアサイトです。実業之日本社が運営し、編集顧問を船橋洋一、編集長を池田信太朗が務めます。

著者の記事