米連邦準備理事会(FRB)が12月10日に発表した資金循環統計によると、9月末の家計純資産は2019年末比4.4%増の123.52兆ドルであった。3月末に一時的に落ち込んだが、その後は順調に回復している。家計純資産の増加は第2四半期が8.29兆ドル、第3四半期が3.82兆ドルであったが、株式による純資産の増加は第2四半期が6.19兆ドル、第3四半期が2.76兆ドルであり、株価上昇の影響が大きかったことが読み取れる。
また、9月末時点での非金融部門の債務残高は60.11兆ドルで、年率換算4.98%の増加となった。他方、対GDPでは284.1%と、6月末時点での304.2%からは低下した。非金融企業の債務残高は前四半期比380億ドル減の17.5兆ドルと、2010年末以来初の減少となった。
第3四半期に、海外部門は株式を年率換算8,114億ドル買い越した。第2四半期の4,125億ドルからは買い越し幅が拡大した。2019年は売り越しであったが、2020年は通年でも買い越しになる可能性が高そうである。2019年4月までの12ヵ月間で米国株を2,146億ドル売り越していた海外勢は、直近12ヵ月間で2,628億ドル買い越している。一方、債券については、第3四半期に年率換算847億ドルの売り越しとなった。第1四半期は売り越し、第2四半期は買い越しの後、再び売り越しに転じた。依然として中国による米国債保有は減少が続いている。
コロナショックにより世界各国の金融市場が一変した2020年、米国企業とその大株主は過去最高の4,350億ドルを調達した。ブルームバーグの集計データによると、2014年に記録した従来の最高額2,790億ドルを大幅に超過したという。調達額の約4分の1は従来型のIPOで計1,000億ドルに上った。アリババ・グループ・ホールディングの巨大IPOがあった14年を除くと、これまでで最大規模である。バイオセクターのIPOが計230億ドル、テクノロジー企業は計190億ドルであった。
また、70社余りの外国企業が米国に上場し、計210億ドル以上を調達し、これも2014年以来最大であった。米議会が規制強化に動く中で、中国企業の株式公開が大部分を占めた。また、240余りのSPACが株式公開し、企業買収に向けて計810億ドルを調達している。
(株式会社フィスコ 中村孝也)