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2020.12.23 外交・安全保障

BISは「Search for yield」を警戒

中村 孝也

12月7日に発表されたBIS(国際決済銀行)の四半期報告書では、ワクチン開発期待によりリスク資産への投資が戻った一方で、バリュエーションと経済見通しの間には不透明感が大きいことが指摘されている。欧米での貸出基準が10月にかけて厳格化した一方で、クレジットスプレッドの縮小は継続し、パンデミック前の水準に近付いた。中央銀行の金融緩和の影響もあるが、BISは「むしろSearch for yield(投資家の利回りの追求)による影響」を重視している。

中国以外の新興国については、ドル建債券ファンドへの強い資金流入が継続する一方で、11月には現地通貨建債券ファンドも若干の資金流入に転じた。第4四半期に入って、新興国株式にも資金が流入し始めたようだ。中国については、高い利回りを背景として現地通貨建債券への投資も好調であり、第3四半期の半ばからは株式にも資金が流入していたと見られる。

為替面では、特に対人民元でのドル安が顕著であった。人民元は5月以降、上昇トレンドを維持しているが、このような堅調なパフォーマンスは、中国のパンデミック抑制政策の成功や景気回復の加速を反映しているのであろう。また、上述の通り、ポートフォリオ投資による資金流入が大きかったことも、人民元の上昇に寄与したものと見られる。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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