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2020.11.10 外交・安全保障

ブロックチェーンの経済効果を享受する国は?

中村 孝也

PwCの「Time for trust: The trillion-dollar reasons to rethink blockchain」では、ブロックチェーンの経済効果が2021年の660億ドルから、2025年に4,220億ドルへ、2030年に1.76兆ドル(世界GDPの1.4%相当)へ拡大すると展望されている。

2015年9月に世界経済フォーラムが公表した「Deep Shift: Technology Tipping Points and Societal Impact」では、57.9%の回答者が「2025年までに世界GDPの10%がブロックチェーン上に保管される」と見ていた(調査時点は2015年3月、回答数は816件)。それとの比較において、PwCの見通しはやや慎重にも見受けられるが、それでも決して少なくない規模の経済効果が期待されていることに変わりない。

当レポートは、ブロックチェーンによるGDP押し上げ効果を国別に見積もっている。経済効果が大きいのは、中国(4,400億ドル)、アメリカ(4,070億ドル)であり、ドイツ(950億ドル)、日本(720億ドル)、イギリス(720億ドル)、インド(620億ドル)、フランス(590億ドル)などでも500億ドル超の経済効果が予想されている。この予想を前提とすれば、ブロックチェーン技術による果実のほぼ半分は米中に向かうことになり、現状の米中以外との国力の差をさらに拡大させてしまう可能性が高い。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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