9月に発表されたThe Global Financial Centres Index 28は、世界111都市の金融センターランキングである。今回の結果は、1位がニューヨーク、2位がロンドン、3位が上海であった。東京は4位(前回3位)、香港は5位(前回は6位)、シンガポールは6位(前回5位)となった。
定量評価項目のうち、東京はBusiness Environmentで13位(前回16位以下)、Human Capitalで9位(前回11位)、Infrastructureで3位(前回4位)、Financial Sector Developmentで11位(前回10位)、Reputation & Generalで5位(前回6位)という結果となった。前回との比較では、定量評価項目は全般的な改善を見せた。ただ、全体4位という結果は、引き続き多くを定性評価に依存している。
また、フィンテックのランキングは、1位がニューヨーク、2位が北京、3位が上海であった。香港は6位(前回7位)、シンガポールは9位(前回5位)、東京は14位(前回10位)となっている。全体の順位と比較して、フィンテックのランキングで東京が他都市に劣後しているように見えるのが気がかりである。
アジア太平洋のランキングでは、1位が上海、2位が東京、3位が香港、4位がシンガポール、5位が北京となった。日本が再度「アジアの金融ハブとしての国際金融センターの確立」を標榜する中、日本からは東京が2位、大阪が12位(全体では39位)と、2都市がランクインした。現状の地位を踏まえると、新たな国際金融センターを大阪で確立するのであれば、既得権益の少ない分野においてリープフロッグ戦略で一気に上位進出を狙う戦略が有効に思える。その観点からは、現状で51位に過ぎない大阪のフィンテックランキングがどこまで改善させられるかが一つの鍵となろう。
(株式会社フィスコ 中村孝也)