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2020.09.07 外交・安全保障

在香港米国企業による香港の見方

中村 孝也

北京当局による香港国家安全維持法の導入を受けて、米国政府は香港自治法を可決し、大統領令13936号を発令するなど、強い反応を見せている。在香港米国商工会議所の「OFAC’s Sanction on Hong Kong & National」では、これらの動きがビジネスにどのような影響を与えているかを測るために、8月7日から11日までの間に154人の会員(会員全体の13%)を対象とした調査を実施した。

「会社が影響を受けたか」という質問に対して、56%の企業が「様子見姿勢」と回答した一方、45%の企業が「スタッフのモラルに影響を与えた」と回答した。それほど多くはないが、香港でのビジネスに与える影響について、香港を拠点とする現地の製造業者、トレーダーからの問い合わせが大幅に増加するなど、事業へのプラスを指摘する意見も見られた。

「1ヵ月前と比較して香港国家安全維持法への懸念は強まったか」という質問に対して、「懸念が減少した」と回答したのはわずか7%にとどまり、44%が「懸念が強まった」と回答した。もっとも、政府の指導が役に立ったとの意見もあり、1ヵ月前と比較では「変わらず」という回答が増えている。

香港から離れることを個人的に検討している会員の割合は前月よりわずかな増加にとどまる一方、香港から離れることを検討する企業は徐々に増えている。割合で見ると、企業よりも個人の方が退去を検討している割合が高い。新型コロナウイルスの拡大による景気悪化に加え、国家安全法も懸念要因となり、香港からの退去が増加する可能性があるが、前回調査までの結果と同様に、引き続き、あくまでも中期的な検討にとどまっているようだ。



(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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