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2020.07.07 外交・安全保障

2期目の小池都政と国際金融都市TOKYO

中村 孝也

東京都の「国際金融都市TOKYO」に関連した政策目標としては、「世界に冠たる国際金融都市の実現」の項で、(1)官民一体の金融プロモーション組織の設立、(2)東京金融賞の創設・表彰、(3)東京版EMPファンドの設定、(4)ESG投資の普及促進、および、「外国企業の誘致」の項で、(5)都による金融系外国企業誘致数、が設定されている。この中で「都による金融系外国企業誘致数」には定量的な数値目標(2020年度:50社)が掲げられている。誘致実績は2017年度、2018年度の10社から、2019年度は14社に漸増しており、堅調な実績を受けて、2020年度目標は30社→40社→50社へと徐々に引き上げられてきた経緯がある。

海外金融機関が日本あるいは東京に進出する際の障害としては、税率の高さ、行政手続き、住環境などの問題などが指摘されることが多い。円滑な行政手続きを目的として、2015年4月に東京開業ワンストップセンターが開設された。外資系企業、国内ベンチャー企業等の開業を促進するため、国と都が共同で運営し、公証人による定款認証、登記、税務、年金・社会保険、在留資格認定証明書等の法人設立に係る手続が集約化されている。申請実績は2015年の51件から2019年は914件にまで増加した。もっとも外国人による申請実績は2017年が158件、2018年が233件、2019年が109件と、やや伸び悩みを見せている。

家事支援外国人材については、2017年に114人、2018年に653人、2019年に821人の受入が行われた。利用世帯数も2017年の2,000世帯から、2018年が16,000世帯、2019年が37,000世帯へと増加している。高度人材外国人の受入も、2019年9月に区域計画が設定され、運用開始に向けた準備が始められた。

一方、税率の高さについては、これまで先送り的な対応が目立った。特区内に進出する外国企業には税制優遇が設けられているものの、本質的な対応は避けられている。7月5日の東京都知事選では現職の小池百合子氏が2回目の当選を果たしたが、2期目の小池都政のもとでの「国際金融都市TOKYO」の本気度は、さらなる税制優遇に向けた取り組み(国への働きかけ)から見て取ることができるだろう。



(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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