コロナショックをきっかけに、グローバル化で安い生産拠点と成長市場を求めた今までの「グローバリゼーション型経済」から、デジタルでの効率性を高める「消費者余剰型経済」への転換が見込まれる。その過程で「デジタル経済の成長」に注目するのであれば、今後の資産配分を考える上で「デジタル競争力」も一つの視点となりえるだろう。
IMDの「世界デジタル競争力報告書」は、知識、テクノロジー、将来への準備という51項目の観点から、世界63ヵ国のデジタル競争力を評価している。2019年の世界デジタル競争力ランキングは、米国、シンガポール、スウェーデン、デンマーク、スイスが世界のトップ5であった。
日本は63ヵ国中23位であり、2018年より順位を1つ下げた。アジア太平洋地域の中でも14ヵ国中8位にとどまる。日本は「国際経験」、「機会と脅威」、「企業の機敏性」、「ビッグデータの活用と分析」の4項目が最下位であった。一方、「高等教育における教員と生徒の比率」、「携帯通信の加入者」、「無線通信」、「世界におけるロボットの流通」、「ソフトウェアの著作権侵害(対策)」のように世界トップ3に入る項目もある。
総じて言うと、日本の強みは「インフラ面」で、弱みは「人材」にあり、このような評価は国全体の競争力にも一定程度当てはまる。IMDが6月に公表した「世界競争力報告書」では、日本の順位は30位から34位に後退した。もっとも米国も3位から10位に、中国は14位から20位にそれぞれ後退しており、「小規模経済の躍進」が今年のテーマであったようだ。
(株式会社フィスコ 中村孝也)