経済への影響は長期化、意図せず中国抜き経済への第一歩

『コロナの日本感染者数の推計は2月中旬で4,100人、GVC進展でSARS当時より影響は甚大となる可能性も(フィスコ世界金融経済シナリオ分析会議)』では、経済的な影響に焦点を当てて状況を俯瞰してみた。新型コロナウイルスの致死率から影響を軽く見る考え方もあろうが、当時と比較したグローバル・バリューチェーン(GVC)の進展にも焦点を合わせておく必要があるということだ。

中国では工場や店舗の一時閉鎖が続く一方で、その間も給与の支払いを続ける必要があることから、資金繰りの悪化と経済成長の鈍化が相まって加速することになる。中国の国内総生産(GDP)はSARS当時の18倍になっており、世界経済に占める割合も4%から20%弱まで拡大している。加えて、「世界の工場」としての役割も高まっており、中国の輸出入額はSARS前後から比較しても6倍程度まで拡大、足もとで4兆ドルを上回る。中国の内需停滞に加え、GVCと人の往来の分断が世界経済へ悪影響を波及させる。

2月3日、中国人民銀行は1兆2,000億元(18兆円)の流動性を供給し、リバースレポ金利を10bp引き下げるなどの対応を行った。ただし、経済活動は止まっており、高止まりしていたデフォルト率への悪影響も懸念されることから、追加的な金融政策、経済対策が打ち出されることも考えられる。気温と湿度があがる5月には収束に向かうとの見方があるが、終結宣言までは人の往来は制限されるため、経済への影響は長期化する。世界的にも金融緩和の可能性を高めたであろう。

人件費の高騰、米中貿易戦争(米中覇権争い)がトリガーとなっていた「チャイナプラスワン」は、その動きが加速しよう。今回の感染の発生源である中国が最も影響を受けるため、意図せず、中国抜き経済への第一歩を踏み出したとも言える。

なお、「新型コロナウイルスの日本における感染者数の推計は2月中旬で4,100人」という数値であるが、あくまでも武漢の数値を使用し、武漢のような広がり方をした場合を試算したものである(後述再掲)。現状での試算も変わらない。ただ、足もとでの国内感染者数は20人にとどまっていることは気がかりだ。潜伏期間が長い、軽度の症状も多い等の理由もあり、まだ感染者が顕在化していない可能性がある。また、検査体制が整っていないので感染者を発見できていないという理由もあり得る。日本の医療レベルが高いという現状はあろうが、多くの中国人の方が春節で来日されていたという状況からすると、発症者の人数が少なすぎるという認識は持っておいた方が良さそうだ。多くの国が中国人の入国を禁止する方向で動き始めた。ただし、感染拡大の可能性を内包している日本は、次に中国と同じことをされる可能性の高い国である点も認識しておいた方が良いだろう。


前提


・武漢からの引き上げ飛行機206名のうち、感染者は4名ということは、武漢市の感染率は1.94 %(海鮮市場に日本人はあまり行かないことを考えると、武漢人の感染率はもっと高い可能性あり)。
・感染者の致死率は2~3%(武漢は4~5%)。
・基本再生産数(一人が何人にうつすか:1.4~3)。
・今年の春節時における中国人の日本への旅行者は100万人と予想されていた(昨年度実績は70万人)。
・昨年の春節期間における武漢市からの海外渡航者は6.7万人。
・中国人の人気海外渡航先のN0.2は日本。
・1月27日から中国人団体旅行は禁止。


春節前後における武漢から日本への渡航者推計


・今年の武漢から日本への渡航者は{6.7万人×(100万人÷70万人)}=9.6万人。
・海外渡航者の日本割合を仮に10%とすると、今年の武漢人による日本渡航者は0.96万人。
・感染率が1.94%とすると186人の感染者が日本に入国したと考えられる(海外旅行禁止によってどのぐらい減るかは考慮していない)。


潜伏期間後(2月中旬付近)の感染者数推計


・1月27日までに感染者186人が国内で感染させたとすると410人(基本再生算数は1.4~3の平均2.2で試算)の日本国内感染者が発生。
・感染者は1週間で10倍以上の約4,100人になる可能性がある(中国の実績を参考)。


武漢市の感染率の検算


武漢市の人口は1,100万人であり、感染率が1,94%とすると想定感染者は213,400人になる。なお、米英の研究チームは今年1月22日の時点において武漢だけで14,464人が感染しており、実際の武漢の患者数を1月29日に105,077人(少なく見積もって46,635人、多く見積もって185,412人)に達するだろうという見方を示していた。


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