民主主義と独裁主義

2021.01.07

IDEAの「The Global State of Democracy 2019」では、世界は1975年当時よりも民主化したという認識が示されている。1975年時点で民主的な国は世界の26%に過ぎなかったが、今では半数以上(62%、97ヵ国)が民主的と評価された。世界の人口のうち民主的な国に住む人口の割合も1975年の36%から57%に上昇した。一方で、非民主主義国の割合は1975年の68%から2018年には20%に低下した。
2018年時点では、北米、欧州には民主主義の国が多いが、アフリカ(20ヵ国、21%)、中南米・カリブ諸国(19ヵ国、20%)ではまだ少ない。アジアでは、民主主義国の数は過半に達しているが、アフリカと中東では民主主義国の割合は半分以下にとどまる(それぞれ41%と17%)。
一方、V-Demの「DEMOCRACY REPORT 2020」は、1990年代の「民主化の第三の波」が終わり、過去10年間はより多くの国が民主化よりも独裁化によって特徴づけられるようになったと主張する。過去10年間に民主主義化が進んだ22ヵ国は人口が少ない国がほとんどである一方、後退した国々は、世界的、地域的に様々な影響力を行使している、大規模な人口を持つ大国と指摘している。

選挙を通じた独裁主義国家の数は、1972年の36ヵ国から67ヵ国へとほぼ倍増し、全世界の40%近くを占めるようになった。完全な独裁主義も2013年の21ヵ国(12%)から2019年には25ヵ国(14%)に増加した。 両者を合算すると92ヵ国と世界の国の過半(51%)が独裁主義ということになる。人口ベースで見ても54%となる。

両者の評価は一見食い違うようにも見えるが、それだけ民主主義と独裁主義の中間的な国家が増えたということなのであろう。一つの関心は、その違いが経済パフォーマンスに違いをもたらすかという点にある。個人のイノベーションを促す民主主義は高い経済パフォーマンスにつながると想像されるが、それは必ずしも必要十分条件ではないようだ。その点では、(1人当たりGDPの代替変数である)人間開発指標に対しては、「民主主義のレベル」よりも「政府の質」の方が相関関係が強いことが注目されよう。

(株式会社フィスコ 中村孝也)


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