「新型地対艦ミサイル開発」と「F-2後継機開発」

2020.12.15

「新型地対艦ミサイル開発」と「F-2後継機開発」

防衛省は南西諸島などにおける防衛力を強化するため、12月9日の自民党国防部会・安全保障調査会の合同会議において「12式地対艦ミサイル」の長射程化の方針を示し、2021年度予算案にそのための開発経費約335億円を計上する方針を明らかにした。政府は、慎重姿勢を崩さない公明党に配慮して、ミサイル開発に関連して「敵基地攻撃能力の保有」について言及せずに「引き続き検討を行うこと」として閣議決定する見込みだ。また、閣議内容には「ミサイル阻止」という文言を使用せず、安倍前首相の9月の談話の中の「抑止力の強化」という表現を使用するという。

岸防衛大臣は、「今回の開発は相手のミサイル射程圏外から攻撃できる純国産の長射程のスタンドオフミサイルになり、敵艦艇から離隔した位置から発射できるミサイルであり、隊員の安全を確保しながら防御できるようになる」と説明した。岸大臣はさらに、「現在、使用されている12式地対艦誘導弾を改良し、燃料タンクの追加、ステルス機能の付加や主翼の大型化などにより5年間かけて能力を向上させる。さらには艦艇や航空機からも発射できるよう武器体系のファミリー化も図っていく」と発表した。

同じ自民党の会議では、6月に計画を断念した地上配備型のミサイル防衛システム「イージスアショア」の代替案として、イージスシステム搭載艦2隻を新たに建造する案も併せて了承されている。

一方、政府は2018年にまとめた中期防衛力整備計画(30中期防)において、次期戦闘機を日本の防衛産業を中心に開発することを決定した。2020年10月、岸防衛大臣は、閣議後の記者会見で、航空自衛隊F2の後継機の開発主体として三菱重工<7011>と正式契約し、機体の設計やシステムの統合を担当すると発表した。

政府は来年度予算案に約700億円のF2後継機の開発費を計上するという。2030年代中頃から退役するF2の後継機として次期戦闘機を約90機導入する見込みである。この開発では三菱重工の下請けとして技術支援に当たる企業を、F35、F22などの開発実績がありステルス技術の高い米ロッキード社、データリンクや各種センサーに強い米ノースロップ・グラマン社及び電子戦技術や部品開発に長けた英BAE社などと連携を図る。併せて、日米のインターオペラビリティ―(相互運用性)の向上も重視した開発になるという。

また、国内の防衛産業の基盤維持のため、エンジンはIHI<7013>、機体はSUBARU<7270>、レーダーは東芝<6502>や富士通<6702>、電子戦を制御するミッションシステムは三菱電機<6503>などが担当する構想だ。防衛産業において戦闘機開発に関わる産業は多岐に渡り1機種当たり1,000社以上が関係してくると言われており、日本主導で本事業を進めることで、国内企業の育成や新産業の開発に期待が寄せられている。

安倍前首相の2020年9月の談話にあるように、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。周辺国のミサイル開発や航空技術の発展は目を見張るものがある。わが国のミサイル、航空機の開発が領土、領海、国民の生命財産、国民の平和な暮らしを守り抜ける迎撃能力になるよう期待したい。

サンタフェ総研上席研究員 將司 覚
防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。

写真:Motoo Naka/アフロ


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