台湾を巡る米中の動きが活発化

9月11日、台湾の報道機関が「台湾東部海域に米中の艦船、航空機が相次いで出現」と、国防部の発表を報じた。なお、国防部は「すべての情報は把握しており、厳密に監視している」と付け加えた。台湾軍関係者によると「7日に米国の強襲揚陸艦3隻が東部の離島・蘭嶼の東94キロメートルの地点を北上し、10日に東部・花蓮沖合約74キロメートル地点を北から南に向かう中国の情報収集艦1隻を海軍が発見し、動静を確認した」とのことである。さらに、「中国人民解放軍は9、10両日、戦闘機のべ30機、艦艇7隻を投入し、大規模軍事演習を行った」と台湾の報道機関が報じた。また、12日には「台湾が実効支配する東沙島を中国船が包囲した」との報道もなされた(後に海洋委員会海巡署=海上保安庁に相当は、報道内容を否定)。

最近、中国の戦闘機などによる台湾防空識別圏(ADIZ:Air Defense Identification Zone)への侵入が増加している。それに対して台湾政府は、米国からF16V戦闘機66機、M1A2戦車108両、携帯型地対空ミサイル、スティンガー250発の購入を計画している。台湾の報道では台湾の軍備増強を、「中国が両岸の軍事衝突を高い代償がつくと考え、武力行使を思いとどませるものであり、戦争を抑止する効果を狙うものだ」と強調されている。

中国は、トランプ政権によるこの武器売却に関し、1982年8月17日に発表した「台湾への武器売却を巡る共同声明(『8.17コミュニケ』)」に違反しており、厳重に反対するとの声明を発表した。一方、米国政府は共同声明について、「台湾向け武器売却は、中台問題の平和的解決に対する中国のコミットメントが条件だ。台湾への武器供与は、量的にも質的にも中国の脅威の大きさで判断され、中国の軍事力に応じて変化する」との見方を示している。1979年1月、ジミー・カーター大統領は、中国との国交樹立の際、米国議会で「台湾関係法」を制定し、自由主義陣営の一員である台湾が中国に占領される事態を避けようと安全策を講じており、国内的な対応の法的根拠を整理していた。

米国シンクタンクのランド研究所ティモシー・ヒース上級研究員は、「米国から台湾への武器売却は、米台関係の距離が縮まり、米中関係が緊迫している表れである」と述べ、「台湾がF-16Vを購入しても中国の軍事的優位には変化ないが、政治的には米台関係の緊密さを世界にアピールできる」とその意義を説いている。現に、米台関係の緊密さの表れとして、8月9日、米台の断交以来最高位のアレックス・アザー厚生長官が、新型コロナウイルスの世界的感染拡大を踏まえ、防疫を含む衛生分野の協力を強化するという目的で訪台している。

これに対し中国外交部は8月10日、「中国は一貫して米台の公的往来に断固反対する」と抗議した。そして「台湾問題は米中関係の中で最も重要な問題だ。『一つの中国』という原則は、米中関係の政治的基礎であり、原則として『米中3つのコミュニケ(1972年の上海コミュニケ、1978年の外交関係樹立共同コミュニケ、1982年の8.17米中共同コミュニケ)』の厳守を求める」と、抗議している。


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