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2021.03.15 経済金融

規制強化国、日本

中村 孝也

「昭和61年度に講ずべき措置を中心とする行政改革の実施方針について」に基づき、総務省において許認可等の統一的把握が行われている。具体的には、法律、政令、省令及び告示において、許可、認可、免許、承認、検査、登録、届出、報告等の用語を使用しているものを把握したものである。

2017年4月1日時点で把握された国の許認可等の根拠となる法令は15,475件であった。府省等別に見ると、多い順に国土交通省(2,805件)、厚生労働省(2,451件)、金融庁(2,353件)、経済産業省(2,261件)、農林水産省(1,770件)などであった。根拠条項等数は、2002年4月1日時点の10,621件からは1.5倍となっている。最近の状況は分からないまでも、これまで規制の数は着実に増えてきた。「規制自体が完全に廃止される場合は、その根拠条項等も廃止されるため、許認可等の根拠条項等数は減少するが、それ以外の場合は、許認可等の根拠条項等が残るため、許認可等の根拠条項等数の減少には結び付かない、又は、許可であったものの一部について届出で足りることとしたときに、届出の根拠条項等が新たに設けられる等により、根拠条項等数が増加する場合も多い」と説明されているが、それはスクラップ・アンド・ビルドの難しさの裏返しでもあろう。

規制の強さを見たものが「許認可等の用語分類別の根拠条項等数」である。一般的な禁止を特定の場合に解除する行為、特定の権利等を設定する行為等(例:許可、認可、免許、指定等)を「強い規制」、特定の事実や行為が、あらかじめ定められた基準等を満たしているか否か審査・判定し、これを公に証明する行為等(例:認定、検査、登録等)を「中間の規制」、一定の事実を行政庁に知らせるもので、行政庁は原則として記載事項を確認し、受理するにとどまるもの等(例:届出、提出、報告等)を「弱い規制」として、根拠条項等数を用語の分類別にみると、弱い規制(届出、提出、報告等)が全体の50.9%と最多である。もっとも「強い規制」の件数は、2002年の3,985件から2017年には4,937件に増えており、規制緩和の方向とは言いづらいだろう。

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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