急回復した米国住宅市場への警戒感

2021.03.05

米国における住宅投資は、平均的にはGDPの4%程度と大きくはない。しかし、住宅投資は、振幅が激しいほか、自動車や家具・家電などの耐久財消費への波及も大きい。また、米国の住宅投資は、歴史的に金利を中心とした住宅取得条件の変化に鋭敏に反応する傾向を示しており、金融緩和が景気回復をもたらす主要な波及経路の一つとしても着目されてきた。日本銀行が2月24日に発表した日銀レビュー「新型コロナウイルス感染症拡大下の米国住宅市場-改善の背景と先行きを巡る論点-」では、足元で好調な米国住宅市場の改善基調は持続する可能性が高いとしながらも、一定の警戒感を示している。

住宅市場が急速に改善している要因の一つとして、昨年春以降の長期金利の低下が挙げられる。もっとも、最近の住宅販売・投資の拡大は、金融危機前の平均的な景気回復局面と比べても、かなり急である。その背景として、(1)2008年の金融危機後に抑制されてきた潜在的な住宅需要の残りが喚起されていることや、(2)感染症の拡大を受けて「都市部の借家」から「郊外の持家」への需要シフトが生じていること、が挙げられている。

住宅価格は、このところ伸び率を高めているが、現時点では、家賃や可処分所得との対比でみた割高感は全体として強まっているわけではない。ただ、過去平均対比でかなり高い伸びを示している地域が散見される。上昇率が実に30%を超える郡が散見されるなど、一部の地域で、住宅価格が高騰しているようだ。

米国住宅市場の好調をもたらしている要因は、当面は維持される可能性が高いと見込まれる。ただし、住宅需要の増加が急であったこともあり、一部には過熱感も窺われる。また、感染症の影響が長引けば、住宅市場に影響が及ぶことも考えられる。CARES法に基づいた「住宅ローンの支払い猶予制度」の利用者数がなお高水準にある点などにも留意が必要と指摘されている。

(株式会社フィスコ 中村孝也)


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