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2021.02.25 経済金融

覇権国の推移

中村 孝也

ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であり、著名投資家のレイ・ダリオ氏は出版予定の著書「The Changing World Order(変わりゆく世界秩序)」の内容紹介ブログで、現代の経済・政治・政策状況を大局的に捉え、過去の主導権を握ってきた国々の栄枯盛衰について言及している。

覇権は、(1)教育、(2)イノベーション・技術、(3)競争力、(4)軍事力、(5)貿易、(6)産出、(7)金融センター、(8)準備通貨という8つの要素から構成される。覇権のピークに対して、(1)、(2)、(3)は先行、(4)、(5)、(6)は一致、(7)、(8)は遅行すると分析している。

レイ・ダリオ氏は、相互に関連した要素の周期的な上下動を「ビッグサイクル」と呼んでおり、3つのフェーズがあると言及している。3つのフェーズとは、(1)競争上の優位性を獲得する上昇段階、(2)強さを維持しながらも、競争力喪失の段階に入っていくトップフェーズ、(3)これらの強みのすべてが自己強化的に衰退する衰退期のサイクル、である。

これらのビッグサイクルは、過去500年間、時間をかけて移り変わってきた。1600年以降については、「相対的な強さ」はオランダからイギリス、米国の順に移り変わってきたと指摘している。アメリカの強さのピークは第二次世界大戦直後であった。特段の言及はないものの、日本のピークはおそらく1980年代後半のバブル期であったと見られる。ロシアが後退し、中国が再び台頭するまでは、差は大きいもののアメリカに次ぐ二番手であった。

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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