国益とは

国益ツリー

国家は、それぞれのアイデンティティから発生する欲求をナショナル・インタレストとして具体化し、国家目標を明確にして国家戦略を立てる。適切な国家目標は、国富を元本として、国家組織から個人に至るまでの国内のあらゆる階層の能力、戦略、関連する政策を動員して国力を増進するプロセスに反映される。こうして国富から変換されたハード・パワーやソフト・パワーを駆使し、国家は自国の影響力が及ぶ範囲を自国領域として拡大させることを目指す。そのようにして獲得した影響力の範囲は、次なる戦略を立案する前提となるとともに、国内外の世論を醸成する基盤ともなる。形成された世論は、実践に基づく創発的な戦略形成の過程に影響を与えその実効性ある形成を促し、アイデンティティやナショナル・インタレストの再定義にも影響を及ぼすことになる。

国益ツリー
  1. Wendtによるアイデンティティ
  2. Wendtによるインタレスト
  3. 国益の確立
  4. 日本の国益(一例)

Wendtによるアイデンティティ

Wendtによれば、アイデンティティとは、動機及び行動の傾向を生み出すアクターの属性であり、アクターの自己認識から生じる、ユニットレベル(国家)の主観的な性質。この自己認識は、他のアクターも同様に認識しているか否かに左右され、このことからアイデンティティは間主観的性質を持つ。つまり、アイデンティティは自己と他者とによって構成されることになる。Wendtが分類したアイデンティティは、下表のとおり。

Wendtによるアイデンティティ

出典:Alexander Wendt, Social Theory of International Politics (Cambridge: Cambridge University Press, 1999).他

  1. 国益ツリー
  2. Wendtによるインタレスト
  3. 国益の確立
  4. 日本の国益(一例)

Wendtによるインタレスト

一般的な行為論では、国家は一定の目的を有し、環境を理解し、そこで目的達成に適切な手段を判断して行為を行う。目的を有する国家は、願望と信念に基づき行為する。Wendtによれば、インタレストとはアクターが望むものであり、アイデンティティを前提とするとされ、インタレストが願望に、アイデンティティは信念にそれぞれ該当する。したがって両者は、行為を説明するうえで相互に補完的な役割を果たす。ウェントは、アイデンティティから生ずる欲求を満たす際の選好などを主観的インタレストに、アイデンティティを維持するために達成しなければならないものを客観的インタレストに区分した。国益として達成が目指されるのは客観的インタレストであり、その概要は下記のとおり。

Wendtによるインタレスト

出典:Alexander Wendt, Social Theory of International Politics (Cambridge: Cambridge University Press, 1999).他。

  1. 国益ツリー
  2. Wendtによるアイデンティティ
  3. 国益の確立
  4. 日本の国益(一例)

国益の確立

国家はアイデンティティに応じた欲求を持ち、それを実現するためのインタレストを確立する。国家の欲求を人間とほぼ同じと考えた場合、国家としての生存は安全欲求としてみなすことができ、人間における生理的欲求は安全欲求に含めてとらえることができる。また、国家は人間とは異なり、マズローが提示する欲求の5段階を、必ずしも段階的に満たすわけではない。下位の欲求が満たされない状況であっても、上位の欲求を求める場合がある。下図はアメリカの場合の一例。

国益の確立
  1. 国益ツリー
  2. Wendtによるアイデンティティ
  3. Wendtによるインタレスト
  4. 日本の国益(一例)

日本の国益(一例)

日本を対象とした場合の、アイデンティティの区分に応じたインタレストの一例は下表のとおり。インタレストに基づいて戦略形成のための目標が設定される。

日本の国益(一例)
  1. 国益ツリー
  2. Wendtによるアイデンティティ
  3. Wendtによるインタレスト
  4. 国益の確立
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