ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であり、著名投資家のレイ・ダリオ氏は出版予定の著書「The Changing World Order(変わりゆく世界秩序)」の内容紹介ブログで、現代の経済・政治・政策状況を大局的に捉え、過去の主導権を握ってきた国々の栄枯盛衰について言及している。
覇権は、(1)教育、(2)イノベーション・技術、(3)競争力、(4)軍事力、(5)貿易、(6)産出、(7)金融センター、(8)準備通貨という8つの要素から構成される。覇権のピークに対して、(1)、(2)、(3)は先行、(4)、(5)、(6)は一致、(7)、(8)は遅行すると分析している。
レイ・ダリオ氏は、相互に関連した要素の周期的な上下動を「ビッグサイクル」と呼んでおり、3つのフェーズがあると言及している。3つのフェーズとは、(1)競争上の優位性を獲得する上昇段階、(2)強さを維持しながらも、競争力喪失の段階に入っていくトップフェーズ、(3)これらの強みのすべてが自己強化的に衰退する衰退期のサイクル、である。
これらのビッグサイクルは、過去500年間、時間をかけて移り変わってきた。1600年以降については、「相対的な強さ」はオランダからイギリス、米国の順に移り変わってきたと指摘している。アメリカの強さのピークは第二次世界大戦直後であった。特段の言及はないものの、日本のピークはおそらく1980年代後半のバブル期であったと見られる。ロシアが後退し、中国が再び台頭するまでは、差は大きいもののアメリカに次ぐ二番手であった。