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2021.02.09 外交・安全保障

政治体制は新型コロナ対応力に影響するのか?

中村 孝也

豪シンクタンク、ローウィー研究所(Lowy Institute)が1月27日に発表した世界各国・地域の新型コロナウイルスへの対応ランキングでは、ニュージーランドが首位、ブラジルが最下位という結果になった。これは感染者数、死亡者数、100万人当たりの感染者数、100万人当たりの死亡者数、検査当たりの感染者数、1,000人当たりの検査数をスコア化して、ランキングしたものである。首位のニュージーランドは、世界でいち早く厳格なロックダウンを実行した。国境を封鎖し、渡航者全員を強制隔離して徹底的に接触者追跡を行っている。日本のスコアは50.1で、98ヵ国中45位であった。
地域別に見ると、アジア太平洋のスコアは、ヨーロッパ、中東・アフリカ、アメリカを上回っており、パンデミックを封じ込めるのに最も成功したといえる。ヨーロッパのほとんどの国はアジア太平洋の国々の平均的なスコアを上回っていたが、2020年の最後の数ヶ月で、より深刻なパンデミック第2波に屈することになった。

新型コロナ対策を巡り、一部では「(中国のような)独裁国家が新型コロナウイルス(Covid-19)の感染をコントロールしやすい」と指摘されているが、ローウィー研究所は「新型コロナのパンデミック対応において優れた政治体制というものはない」と述べている。

民主主義国の平均スコアが50.8であったのに対して、強権国の平均スコアは49.2、ハイブリッド国の平均スコアは41.6であった。時間の経過とともに各政治体制の平均スコアは収斂してきており、権威主義的なモデルの採用国に長期的な優位性は見られないと説明している。米国や英国をはじめとするいくつかの顕著な例外はあるが、民主主義国家はパンデミックへの対応において他よりもわずかに成功している。対照的に、ウクライナやボリビアのようなハイブリッド政権の多くは、この課題への対応が遅れている。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

中村 孝也

株式会社フィスコ 代表取締役社長
日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、暗号資産(仮想通貨)などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

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